Novel:Side GG
□At the end of Crusade
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「…う」
小さい呻き声が漏れた。或いは荒地を歩く振動で、肺から空気が絞り出された音かもしれない。
ソルは肩に担いだ少年を抱え直した。
少年がまとう白い法衣は、あちこちが赤黒く染まっていた。力なく垂れる腕の先端からは今も赤い液体が滴っている。
数刻前まで少年は――カイは戦っていた。人類が生み出した異形の生物兵器の長たる存在と。
そして、正義≠フ名を冠したそのギアを封印した。――恐らくは相打ちにする覚悟で。
瓦礫の山に、人形のように転がっていた所を、偶然にもソルに発見されなければ、確実にあのまま死んでいただろう。
――偶然、か。
ソルは唇の端を吊り上げ、嘲笑を作る。
偶然などではない。聖騎士団がジャスティスを倒せないようであれば、自身がケリをつけねばならないと思って決戦の地へと足を運んだのだから。
騎士団の、つまりはジャスティス討伐に向かうであろうカイの行動をずっと見張っていた。
決して偶然などではなく、必然だったのだ。