ガンダムOO
□回顧。
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「どうだ?」
「…温い」
「はは、そうか」
整然とした部屋--そのベッドの上で、天井を仰ぐロックオンと それに背を向けて横になる刹那。
一つのベッドに二人、というのはさすがに狭かった。 こんなにも近くに他人(ひと)の温もりを感じる。
「…皮肉なもんだよな」
不意に、肩越しの声が固くなった。 刹那は少し身を捩ってロックオンを窺う。 表情は見えない。
「辛い記憶とか、思いとか 忘れようとすればするほど忘れられないんだ」
--それは 刹那に対してか、それとも自分に対しての言葉なのか。
きっと、両者に対して。
刹那は そっとその手を握り締め、掛かっていた毛布をより深く被った。
癒えること無い心の傷を、誰しもが背負って生きていく。
奥底に沈む痛みを、取り払う術など誰が知っているだろう。
…それでも今は、
ただ この温かさが酷く心地良く感じた。
end.