ガンダムOO
□回顧。
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何処へ向かうでもなく、刹那は艦内を彷徨った。
歩を進める度 ふわりと体が浮く。 この感覚にも随分慣れた。
--そう、此処は地上では無い。
もう 彼処では無いのに。
「刹那?」
名を呼ばれ 視線を上げる。 目が慣れたのか、暗闇の中でもはっきりとロックオンの姿が見えた。
「やっぱり刹那」
ロックオンがどこか満足そうに軽く笑う。
改めて辺りを確認すると、彼の部屋の前に来ていたらしい。
「…何で分かったんだ」
「んー…感、かな?」
視線を逸らし、ロックオンは宙を見つめる。
「不意に目が覚めたのも、それで刹那が其処にいるんじゃないかって思ったのも、はっきりした理由なんてないさ」
「…」
「…どうしたんだ?」
再び、優しい眼差しが向けられる。 刹那は思わず目を伏せた。
「…眠れないのか」
ややあって 刹那が小さく頷く。 ロックオンにはそれだけで十分だった。
冷え切った刹那の手を掴み、そのまま自室へと誘う。
「…な…?」
「いいから」
戸惑いながらも、刹那はその手を振り切る事が出来なかった。
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