Tales
□soap bubble。
2ページ/4ページ
「ほら、見てみい」
見上げれば、またいくつものシャボン玉が浮かんでいる。
「いろんな色しとって綺麗じゃの」
「…シャボン玉自体に色はついてないんですよ?」
ん? と、モーゼスさんが首を傾げたように見えた。
「構造色と言って、シャボン玉の微細な構造によって光が干渉するから色づいて見えるんです。 だから見る角度に応じて様々な色彩が見られるんですよ…って、」
先程はこちらを向いていると思ったのその人は、今はすっかり無視してシャボン玉を飛ばしている。
「…モーゼスさん、聞いてなかったでしょう」
「難しい話は分からんからのう!」
--穏やかに風が吹く。シャボン玉は飛んで、
壊れて消えた。
「…まぁ どうせバカ山賊には理解できませんよね」
「クカカ! 好きに言うとれ」
「えぇそうしますよ」
…なんて。
.