ガンダムOO
□言ノ葉。
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「刹那」
「…刹那?」
「せーつなー」
「五月蝿い」
振り返り、睨みを利かせて一言。 しつこく人の名を連呼していたその男は 少し困ったような表情を浮かべて肩を竦めた。
---言ノ葉。
初めての実戦の後 何か用が有るわけでも無いのに、この男は勝手に俺の後をついてきて喋り出した。 暫くは耳を傾けて適当な相づちを打ってやっていたものの、途中からはもう面倒になり無言になった途端これだ。 始末に負えない。
「…初めて、だっただろ? 大丈夫か?」
溜め息をつきかけた時、不意にロックオンはそう切り出した。 散々喋りたてておいて、本当に言いたかった事はそれらしい。
「…お前が援護に居てくれたから、俺は安心して戦えた。」
--それが本音か否か。 自分でもよく分からなかったけれど、何となくそんな言葉が出てきた。
これで いつものように笑って流してくれれば良かったのに。 ロックオンはただ俺を見つめていて。
急に、恥ずかしさがこみ上げてきた。
「…ちょっ!? 待てって刹那っ! 今の--…」
言葉というのは、
思いを伝えるというのは難しい。
「刹那っ」
何度名前を呼ばれても、俺はただ それを無視する事しかできなかった。
end.