ガンダムOO
□温情。
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迷うことのない人間などいるのだろうか。
立ち止まることのない人間などいるのだろうか。
「俺たちはただ命令に従うだけだ」
ティエリアは相変わらずの無表情で言う。 アレルヤは少しだけ肩をすくめた。
「君は強いね」
「別に」
会話が途切れ、二人はただ窓越しに映る地上を見下ろす。
アレルヤがちらりと隣の青年に目をやった。
真っ直ぐな瞳。 揺るがない感情(おもい)。
それはアレルヤにとって羨ましくもあり、時に不安にもさせる。
きっと君は、弱みなど決して人に見せないだろう。
何もかも自分の中にしまいこんで、前に進んでいくのだろう。
君は強いから。
けれど、
「知っているんだ」
「何を」
無意識に声に出していたらしい。 ティエリアがそう問いた。 見つめられて、慌てて微笑みながら返す。
「あ…いや、何でもないよ」
「…」
…そう、知っているんだ。
人は決して、
一人では生きていけないと。
end.