Tales
□soap bubble。
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--無鉄砲で考えなし、本当に頭の中は空っぽなんじゃないかと思った時もある。
「…何ですか? コレ」
--紙コップの中でくるくるとストローを廻しながら、
「シャボン玉じゃ!」
--至極当然にその人は答えた。
---soap bubble
「シャボン娘がやっとるのを見ての、なんかやりたくなったんじゃ」
モーゼスさんは楽しそうに ストローの先端をコップ内の液体に付け、その他方を口で吹いて膜を膨らませる。 シャボン膜とストローとか切り離され、ゆっくりとそれは浮かんでいった。
「ん? 何じゃ、ジェー坊やらんのか」
「子供の遊びには興味ありませんから」
少し離れた場所で座りながら ぼくはそう返す。 手には無理矢理渡された、シャボン液の入れられた紙コップ。
「まだ子供じゃろうが」
この人はまた…
「一年先に生まれたぐらいで、人を子供扱いしないでくださいよ」
モーゼスさんは一瞬考えるようにして、急に笑顔になった。
「じゃあワイも子供じゃ そんならいいじゃろ?」
「…」
…上機嫌。
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