夢魔
□夢魔 新章
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土方にのめり込み理性を失っていたボク
気がつくとすぐそばにスゥが
佇んでいる
「…リク…」
その今にも消え入りそうな呟き
只でさえ小さなその身体が今は余計小さく見える
「…スゥ?
ど…どうしました…」
ボクはしゃがみ込んで俯くスゥの顔を覗き込む
その瞳には涙が溜まっていて
今にも溢れ出す瞬間だった
「…おねがい
スゥ以外の人と…
気持ちよくならないでよ…
──スゥそんなリク
…見たくない…よ」
「───…えっ??それは…」
ボクがスゥに言葉をかけたその時
辺りが急に歪みを生み出し 空間が消失を始めた
「…まっ…まずいっっ!!
土方が夢から目覚めようとしている??
スゥッ!!!
話は後でしっかり聞きます!!だから今は
──ここから脱しましょう」
ボクはスゥの腕をとり
自分の元に抱き寄せた
「……んっ…ンン
──────っっ!!!!
やめろっっ────!!!
…ん?此処は…俺の部屋??」
目を覚ますと目の前には
二人の子供がすぐそばでこちらを見ていた
……夢?
あれは夢だった??
身体を起こして 額の汗を拭った
「…大丈夫ですか?
だいぶうなされていたようだったので
心配で…」
俺に話しかける銀髪の少年
コイツはたしか リク と言った
となりの小動物のような少女は スゥ
兄妹らしく
よくわからんがしばらくかくまって欲しいと昨日出会ったこの2人
リクは床に正座をしてこちらを見ている
そのすぐ後ろに兄の背中に隠れるようにこちらを伺っているスゥ
「すまねぇな…
お前らみたいな子供に心配かけちまうなんて」
「…いえ
もうボク達も起きる時間でしたし」
「─────あっ??
悪いっ…今何時だっ!!?」
「…10時ですね…丁度」
その言葉に身体中にかいていた汗が一瞬にしてひく
…まずいっ!!!
俺はとりあえずの身支度をして
部屋をでようとする
「おいっ!!!リクっこれ!!!」
「…えっ?」
玄関の棚に置いてある部屋の鍵をリクに投げ渡す
「バイトにいかなきゃなんねーから
とりあえずそれは部屋の鍵だっ!!
どっか行くならしっかり鍵かけて出かけるんだぞっ!!
あと なんだ……!!?
あぁっ! ───すまねぇ!!
時間がねーから もう行く!
また迷子になるんじゃねーぞっっ!!!」
そういうと俺は二人を残して部屋を飛び出た