頂き物

□マザーグース〜番外編〜
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「はひぃ!愛華ちゃん可愛いです〜!」



すっかり綺麗になったハルに着せられたのはピンク色のフワフワドレス。流石に仕事でもこんなのは着た事がない。



「…キャラじゃないでしょ…。」



「そんな事ないです!はい!これを持って合図を待っててくださいね!」



そう言われ静かな廊下で一人ポツンと立っていた。ややあって合図があり扉が開いた。



煌びやかなそこは昔ノーノと誓いを交わした場所。真っ赤な絨毯をゆっくり踏み締め一歩、また一歩歩く。



辿り着いた先には綱吉と京子がいた。持っていた指輪を渡せばにっこり微笑んでくれた。



そのまま横に捌け、ザンザスの膝に抱えられた。



綱吉が、涙を流す京子にキスをする。その光景にあの頃を思い出し胸が締め付けられた。



庭に出ればブーケが投げられた。それはたまたまうちの手に納まった。次は愛華ちゃんです〜ってハルが叫んでたけど、なんか…なんか笑えなくて控え室に戻った。



暫く膝を抱えていたら、全て終えた京子が入ってきた。



「愛華ちゃん、今日はありがとう。」



その言葉に、今まで我慢していた涙が一気に溢れた。



「ごめん、京子…うちのせいで…。」



綱吉が言っていた。棚橋麻里という人物が思い出になるまで、結婚なんか出来なかったって。



うちは彼女の幸せを妨げていた。そう思うと、小さな心臓が締め付けられ、なんか呼吸まで苦しくなってきた。



「愛華ちゃん、違うよ。私、感謝してるんだから。貴女がいたから、ツナくんは強くなれた…プロポーズなんてしちゃうくらいにね!」



「…京子…ありがとう…。」



涙を拭う京子にポスン顔を埋める。



自分は、愛情というものを良く知らない。どの両親も、死んでしまったから。



だから、自己満足の愛情しか与えられないのだ。押し付けるだけの、傲慢な愛情しか。



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