頂き物
□マザーグース〜最終章〜
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彼女の死に顔は安らかだった。
「晴れの炎で原型は取り戻せたが…命までは…。」
ディーノさんの目には涙が浮かんでいた。だって彼は結婚するつもりだった。それを固くなに拒んだのが彼女だったらしい。
一体彼女のなにがそうまでして結婚を拒んだのだろうか。
「悩んでるなら…言ってくれれば良かったのに…。」
「まさか、自殺なんて…。」
「違う…彼女はそんな事してない。」
え?振り向いた先に立っていたのは雲雀さんだった。
「彼女の身体から微量のアルコールが検出された。」
「え?じゃあ、酔って…?」
「有り得ない。彼女はドクターからアルコールを禁止されていたからね。それに…以前パーティーで無理矢理飲まされ倒れている。」
ドクターって…
「先生…何か病気だったんですか?」
その問いに険しく眉間を寄せた雲雀さんはなにも言わずに去っていった。
「十代目…俺が説明します。」
「大丈夫?獄寺くん…。」
「はい…母さんは…双極性障害だったんです…。」
「…えっと…なにそれ?」
「簡単に言えば鬱です…母さんの場合、その症状のほとんど発症してました。」
「…っ!だから以前倒れたのか!」
「あぁ…最近は良くなってたんですが…。」
鬱?なんで?あんなに明るい彼女がなんで?そんな素振り、全く見せなかったじゃん。
「母さんは…なんでも一人で抱える癖があったから…。」
だから、なに?そんなに辛いなら、我慢しないでよ…
俺達は先生の苦しみの上に成り立った幸せで笑っていたの?
そんなの…そんなの残酷過ぎるよ…。
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