頂き物

□マザーグース7
4ページ/11ページ




「継承式?」



『嗚呼、八日後に行われる。』



「なんで…ノーノはまだ動けるでしょ?」



それに対しノーノは苦笑で返しただけだった。



「…綱吉は!?十代目になるって言ってるの!」



『まだ分からない…近いうちに会うつもりだよ。』



その時、うちには会ってくれないんだよね?



「…分かった、うん、またね。」



ハァ…通話の切れた携帯をポケットに捩じ込む。



「うちとボンゴレ、どっちが大事?」



危うく言い掛けた言葉。そんなの、決まっているではないか。



うちは所詮お荷物、今彼が必要なのはうちではなくあの子なのだ。



「どうして…うちから何もかも奪うの?」



あの子が悪い訳ではない。ただ、この苛立ちを勝手にぶつけているだけだ。



「ホント…嫌な女…。」



煙草をポケットに捩じ込み家を出た。









「こら!あんた達なにやってるの!」



「ゲッ、麻里!」



「こんな事ばっかしてるからモテないのよ!ホラ、恭弥が来るから早く教室戻りなさい。」



渋々校舎へ戻っていく生徒達を見送りクルリ振り返り手を伸ばす。



「大丈夫?炎真。」



「……う、ん…。」



「よし!男の子なんだから、嫌な事は嫌って言わなきゃダメだよ。」



「…でも…そんな事したら…やり返される、から…。」



「それでいいじゃん!戦って戦って、それでもダメだったらうちが助けてあげるからさ!」



ニッコリ笑えば戸惑った眼差しが返された。



「挑む勇気が大事なの。逃げてばかりじゃ、なにも変わらないよ?」



「…………。」



「だって貴方にも、綺麗な羽が生えているんだから!」



突如吹いた風に顔をあげる。揺れる緑に頬を緩める。



「……ありがとう…。」



その言葉は風に掻き消されて耳に届かなかった。



炎真を放っておけなかった。その怯えた瞳が哀しくてしょうがなかった。



まるで彼はあの日拾った子供達の様。親を殺され周りが信じられなくなったあの子達と。



だからかな、気付いてしまったのは。



この子の抱えるものが、復讐なんだって。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ