頂き物
□マザーグース5
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リング戦当日。
流石に尽きたのか気配はなく帰路に着いた。途中、恭弥らしき人物と擦れ違った。
その人物は金色の髪の男と戦っていて此方には気付いていなかった。
(あれは…跳ね馬、ディーノ?)
間違いない、あれはディーノだ。何故、日本に?
彼と出会ったのはまだツンケンしていた十代前半の頃だった。
居場所を探して中庭で座り込んでいた時。
「こんにちは。」
振り向いた先にいたのは金色輝く少年だった。
「俺はディーノ、君は?」
「…棚橋麻里…なに?」
「いや、綺麗だなと思ってな!」
「…なにが?」
「髪!日本人なんだろ?」
「…馬鹿にしてんの?」
「いや…口説いてるつもりだったんだけど…。」
そんな男の腕を掴みあげ後ろに捻りあげた。
「いでででで!」
「十年早ぇんだよ、糞野郎が。」
腕を離すと少年は顔面から床に落ちた。しかし起き上がって笑ったのだ。
「じゃあ、十年後にまたトライするな!」
綺麗だと思った。同時に不快な嫌悪を感じた。こいつはいるだけで自分を惨めにする。本能がそう告げたのだ。
そういえば家光が家庭教師がどうのと言っていたっけ。ま、恭弥に関してうちはもう関係ないのだが隼人は大丈夫だろうか。
漸く辿り着いた家に凪はいなかった。
「…寂しい、よぅ…。」
無意識に呟いたそれは余計寂しさを増殖させた。
会いたい、ノーノに会いたい!携帯を充電器に差し通話ボタンを押した。
長いコールの後出たのは…
「ノーノ!」
『どうかしたかい?』
「…え?いや、あの…定期連絡を…。」
『忙しいからまた後にしてくれ。』
プッ、ツーツー
…一体、何が起きてるの?
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