頂き物

□マザーグース〜番外編〜
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一センチ弱の心臓を見せられ僕は絶望した。大きくすると骸は言った。しかしミクロ単位では一体何十年掛かる?下手をしたらその前に寿命がきてしまう。



この世は残酷だ。彼女にとって酷く残酷だ。再び生きる事を手にした彼女だが、あれ程願った普通は手に入らなかった。



そんな彼女は今日も笑う。まるで光輝く太陽の様に。









「獄寺くんは、知ってたの?」



「いえ…知りませんでした。」



嘘、だと思った。けれど全て終わった今、彼を責める気はなかった。



黒幕、それは俺達が中学の時歴史を担当していた先生だった。



オルターエゴ。そう、彼は二つの人格を持っていた。



一つは生徒思いの優しい先生。もう一つはマッドサイエンティスト。彼もまたその人格に悩まされ、マフィアに利用されたという。



だから憎いマフィアを滅ぼそうとした。死ぬ気の炎に反応したのはそのせいだ。



だから、俺は彼を責めない。彼もまた、被害者なのだから。










ベッドに寝そべる少女の身体に指を滑らせ歳の割に膨らんだ胸に手を当てた。



ゆっくり、慎重に炎を灯す。



「…フゥ…終わりましたよ。」



「お疲れ、骸!」



起き上がろうとする少女を征し優しくシーツで包み込む。



「無茶しないでください。まだ馴染んでいないのですから。」



「大丈夫だって!」



「また強がって…脂汗が浮かんでいますよ。」



少女はしまったとばかりにシーツを頭まで引き寄せた。



「…貴女は、生きてよいのですよ。」



「だって…この身体は、愛華のものだから…。」



「例え貴女がその身体を捨てたとしても、その身体の魂は二度と戻ってきません。なら、貴女が使うのが有意義というものでしょう。」



「…恐いんだもん…幸せなんて…。」



シーツを剥ぎ取り少女を優しく抱き締めた。



「安心してください。貴女の幸せは、そんな簡単に失われたりはしませんよ。」



震える身体に口付けを落としていく。



この世界は残酷だ。万物に平等じゃないこの世界は…。



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