頂き物
□マザーグース10
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それは、高校二年の夏だった。
「おじいちゃんが、倒れた?」
「はい…どうやら、もう永くないそうです。」
ショックだった。おじいちゃんとの思い出はそんなにないけど、近親者の死はやはり哀しい。
「俺、暫くイタリアに行ってきますね。なにかあったら連絡ください。」
そう言って獄寺くんは旅立っていった。
一人取り残された俺は、ただおじいちゃんの無事を願う事しか出来なかった。
(ハァ…なんか、高校生になってから、良いこと一つもないや。)
溜め息を吐き出し机に突っ伏した。周りは皆携帯に夢中。去年の学園祭なんか最悪だった。
あんなに輝いていた元クラスメイトも今や俺を虐める側の一員だ。
高校デビューの逆ヴァージョン。中学の時のがまだ輝いていた。
なんて腐ってる自分は最低だ。なんでもかんでも人のせい。自分は悪くないと開き直るだけ。だって、俺はなにも悪い事をしていないのだから。
お兄さんは今でもボクサーになる夢を捨てていない。山本は甲子園に向かって猛練習中。獄寺くんはまだ右腕の座を狙ってるし雲雀さんは相変わらず我が道をゆく。ランボなんか漢字を覚えた。
進んでないのは自分だけだ。寧ろ後退している。最近リボーンが何も言ってこないからって怠けていたバチが当たったのかもしれない。
今はこの現状を脱け出したかった。このダメな人生から…
夢ってなに?どうせ俺なんか、なにをやってもダメなんだから抱くだけムダ。
「ツナ、暫くイタリアに行ってくる。」
「それって…おじいちゃん?」
「あぁ…。」
「ねえ、十代目ってどうするの?」
「まだ決まってねえ。とにかく今は九代目だ。」
去っていくリボーンを黙って見送った。
マフィアの事なんて、どうでもいいじゃん。
俺には関係ない。
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