Brothers Conflict 夢
□変わる関係
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11月中旬。
『ん……。』
秋の肌寒さに、自然と目が覚めてしまう。掛け布団を手繰り寄せ、もう一度眠りに就こうとする。
「っ……んぁ?」
自分の隣から、誰かの声がした。
誰かも意識が覚醒したのだろう。
ん、誰が?
「うわぁ!
す、すまん!!」
カーテンから僅かに光が漏れていて、私の寝惚け目に大ダメージを与える。
光に当たった人物は、平謝りを私に続けていた。
『えっと、昴くん……?』
何故彼が自分の部屋で平謝りしているのか不思議で考える。
そうすれば昨日の夜、彼と会った記憶が甦る。
「相談に乗って貰って…呑んだ後の記憶が無くてっ!!」
一生懸命に現状に対する解釈をしようと必死になっている昴くんを見て、だんだんと私の頭も覚醒に向かう。
確か、バスケの相談を受けていて、一段落ついた所でお酒を提供した。
昴くんがお酒にあまり強くないみたいで潰れてしまって……
私もその後を覚えていない。きっと無意識にベッドへ入って眠りについたのだろう。
『昴くん、謝らなくていいよ?
それより頭痛くなってない?』
「あ、あぁ…大丈夫だ。」
未だ収拾はついていないが、兎に角リビングに行こうか、という事で落ち着いたと思われる。
「あぁ、今呼ぼうとして居た所ですよ。
おはようございます。」
リビングの階段を降りれば、携帯を片手に挨拶をしてくれる右京さんが居た。言葉通りたった今呼び出してくれる所だったのだろう。
「何で一緒に降りてくる訳?」
右京さんに挨拶を返して食卓に着くと珍しく風斗が座って居て、昴くんを怪しいとでも言う様に睨み付けた。
『風斗おはよ。
昨日わたしの部屋で呑んでいたんだけど、途中で寝ちゃって……。』
アハハ、と空笑顔で暴露すれば、向かいの席に座った昴くんが声を上げて動揺した。
「何それ、スポ根馬鹿と今まで一緒だった、って事?」
アイドルには程遠いひきつった笑顔を貰い、私も苦笑をお返しする。
黙っていられなかったのは風斗だけじゃなく、椿くんと梓くんも参戦してきた。
「音緒、何もされなかったか〜!?」
俺の妹よ、と椿くんが冗談めいて言うので、子供扱いしないでお兄ちゃん、と乗ったら椿くんと二人して梓くんに怒られてしまった。
「はぁ……寄りによって昨日飲酒するとは。」
嘆かわしい、と言わんばかりの右京さ
んに溜め息まで吐かれた。
あれ、今日何かあったっけ…?
昨日呑んだらまずかった!?
オロオロと狼狽していれば、また右京さんから溜め息を頂戴した。
すると祈織くんが代弁して説明をしてくれた。有難い事なのだが、昴くんと私にとって衝撃というか仰天過ぎて。
「今日は母さん達の結婚式だよ。」