Brothers Conflict 夢

□夏のイベント
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夏夏夏夏!!

蝉はとうとう鳴き出して、リビングや自室にはクーラーが欠かせない時期。

弥くんと私が、待ちに待った夏!!



「今年の夏、例の島への旅行はどうしますか?」

7月に漸く突入し、私が妄想した別荘の話が出た。
右京ママンないす!!

「?」

絵麻はどうやら説明を受けてない様で、右京さんから告げられて暫く驚いていた。
皆予定を確認する中、私と弥くんは顔を見合わせてニコニコしていた。


『新しい水着買わないとねっ!』

そう宣言したら、絵麻が不思議そうに此方を見た。

「お姉ちゃん、去年…彼氏と海に行くからって水着買ってなかった?」


おうふ、妹よ。
姉ちゃんはバスト成長中につき去年の水着は入らないのだ。
その事を耳打ちで伝えれば、段々と絵麻の顔を赤みを帯びる。


『去年の水着、絵麻にあげようか?』


絵麻から離れて弥くんを撫でながら尋ねれば、絵麻は赤い顔から一変して眉を吊り上げた。


「嫌味にしか聞こえない。
たしかにお姉ちゃんと比べて…一般と比べて胸はあんまり無いけどっ」


怒鳴るでもなく言うのが逆に怖さを増している。
しかし、折角私が耳打ちしたのに、それを台無しにする絵麻。


「………っあ!」


それに気付いたのか、昴くんと侑介くんの純粋組と一緒になって俯いた。


『一緒に水着買いに行こーね、絵・麻ちゃんっ』

弥くんの頭から絵麻の頭へ手を伸ばし、髪型が崩れるまで撫でた。
勿論、意地悪く微笑みながら。








『こっちも着てみて!』


私は試着室に入った絵麻にピンクのビキニを渡す。
ピンクのビキニはヒラヒラとフリルがたっぷり付いていて、とっても可愛いらしい。

『自分はフリフリ系着ないし、そういうのは是非絵麻に着て欲しいな〜』

「お姉ちゃんは何着ても可愛いのに、どうして大人っぽい服を選ぶの?」


絵麻と試着室のカーテンの向こうで会話する。
私達は店員さんも寄せ付けないで姉妹だけのショッピングを楽しんでいた。


『もういい?』

「話し逸らさないで…って開けないで!!」

まだ時間がかかるみたいで、何だか出産待ちの旦那さんの気分だ。
いや、それとは比にならないか。


「どう、かな?」


内股で恥ずかしながら見せてくれる絵麻は可愛い。
もう水着なんて一緒に見えてきた。可愛い子が何着たって可愛いのだ。

絵麻と同じ思考をしている事に気がつかず、互いにシスコンっぷりを見せていた二人。


「私、さっきの白い水着がいいんだけど…」

絵麻が指差したのはワンピースタイプの水着だった。
確かに可愛らしいが露出が少ないと私は駄々をこねた。


「お姉ちゃんの水着じゃないんだから…」

絵麻も苦笑いしたが、私が似たようなデザインのビキニタイプの水着を探し、スカートも付いている事を力説した結果、私の勝利をおさめた。

「お姉ちゃんの水着は?」

『あ、もう買った。』

「相変わらず、服選びに迷わないんだね。」


絵麻からまた苦笑を貰い、水着売り場を後にし外に出ると、もう夕方だった。


『久し振りだね、絵麻とこうやって帰るのも。』

「うん、懐かしい…。」

綺麗な夕日をバックに、私達は吉祥寺の住宅街を歩く。
何だか5年以上昔に戻った様に懐かしく、寂しいような嬉しいような気持ちだ。
今はもう、歳も身体の大きさも帰る場所も変わっているけれど、絵麻との関係は変わっていない。


『ねぇ絵麻、手…繋ごっか。』


マンションまであと少しの距離だけど、絵麻との距離の方を少しでも縮めたくて、お互い握り合った。


「お姉ちゃん。」


『ん?』


「お姉ちゃん。」


『何、絵麻〜』


繋いだ手をブラブラ揺らしながら絵麻とじゃれつく。
それに可笑しさを感じ、笑いが零れる。

朝日奈家に来なければ、絵麻と二人でこんな風に買い物する余裕はなかった。
最近もっと沢山笑って居るような気さえする。


『幸せだ!』

住宅街なので控え目に叫ぶ。
今の幸せを、潰したくない。



















リア充…………妹と。
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