Brothers Conflict 夢

□新しい生活
1ページ/9ページ



ヴー、ヴー、ヴーッ


携帯のバイブが鳴る。
何度も煩く、私を起こそうとしてくる。
まぁ、バイブの原因は分かっている、絵麻からのモーニングコールだ。

『んぅ…っ、もうちょっとぉ。』


携帯があまりにも睡眠を妨害してくるので、絵麻に対してもう電話してくるな、と伝える為に通話をした。

寝ぼけている頭で返事が無い事を不思議に思い尋ねる。

『絵、麻…?』

「…っ、寝起きの声かぁいーね。残念だけど、君の妹ちゃんではないんだっ」



絵麻とはかけ離れた、低い男の声だったのだ。
妹だと思って出た電話が、男だったらどうするだろう。

『椿さん、ですか…?』

椿さんと梓さんは声優を職業としていらしく、声の質が普通の人と違って質が高い。


「そうそう、あったりー!!
朝食が出来たから、君の妹に頼まれたんだ〜。」

『あー、直ぐに行きます…。』

昨日まで住んでいた家とは勝手が違うので四苦八苦しながら与えられた自室を出た。

五階のリビングへ向かうと、良い匂いが漂ってくる。
眼を瞑って匂いを堪能しながら歩いて行くと、何かとぶつかった。


「うわっ、何て格好してんだよ!!」

眼を開けて少し見上げると、昨日喧嘩を売ってしまった侑介くんとやら。
弟の一人。



まだ眼は完全に開いてはいないので、絵麻の声のする方へフラフラと寄って行く。
意外に絵麻と距離は離れていたようだった。

「妹ちゃん大胆だねぇ。
そんな格好で来ると、狼達に食べられちゃうよ?」


何か可笑しいだろうか、何故要さんに笑われるのかと疑問だったが、兎に角絵麻の元へ行かなければ。
その思考だけが私を動かしている。


「音緒さん、おは…!!」


右京さんも居たらしく、頭を下げようと屈む前に止められた。


「あ、お姉ちゃん。
動かないでね〜」


絵麻の声と匂いに安心して止まる。
襟と足元を直された。
どうやら寝間着に着ていた襦袢が着崩れていたらしい。




「はいっ、もう大丈夫。
お早う、目は覚めた?」














朝の姉妹の習慣
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ