拍手の夢たち

□境界線の罠
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(※暗めで後半夢主が軽く病んでます)



涼しい講堂の中。
講義を受けている私には知ることはない、外の暑さ。
きっと蝉やら人の声で煩いのだろう、と考えながら窓から外を伺う。

この講義は面白いが講義をとっている生徒の数はすくなかった。
講師はこちらをちらりと見て視界に入れるが、何も注意を受ける事はなかった。



何気なく外から鞄の中に焦点を移すと、鞄の一番上で光る携帯。
メールだった様で開いてみる。


[やっほ〜♪
京兄が、今日は家族揃って外食だから早めに帰って来いだってさ〜
俺も早くりんに会いたいからさぁ…


大学まで迎えに行っちゃうね☆]


こんなメールは、キョウダイの中で椿さんしか居ない。
家族揃っての外食も珍しいので驚きだ。


しかも迎えにって…ん?
迎え!?外食!?

考えれば自分はどちらにも応えることは出来ない事に気が付く。
この後は友達とカラオケでオールの予定。
慌てて椿さんに返信を打とうとすると、また光り出す私の携帯。
サイレントで良かったが。

急いでる時になんだよ、このっ!
と思ってそのメールを開けば、我らが次男の右京お母様で在らせられる←

[今日も晩御飯も要らないという事でしたが…母さんがレストランへ連れて行って下さるそうで。
全員参加ですので帰って来てくださいね、絶対。]

椿さんとのギャップが凄い。
しかもメールの文章で威圧感を出せるなんて…尊敬します、右京さん。

『はぁ、』


小さく溜め息をつけば、俯いていた私に他の人の影が見える。
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