短編
□好物
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〜縮小化〜
「オプティマスオプティマス、ういろう買ったんだけど食べる?」
『何?!あ、その…良いのかい?』
「うん!(ていうかその為に買って来たんだし。)」
トランスフォーマーが人間の食べ物も飲食可能だと知った時は驚いたのぞみだったが、
今自分の目の前でキラキラと子供の様に目を輝かせているオプティマスの好物を教えてくれたアーシーにのぞみは心から感謝した。
ういろうは無論人間サイズなので彼にはギゴガゴと縮小してもらった。
基地に置いてあるソファに行きパッケージからういろうを取り出すと、ぽんぽんとソファを軽く叩き「座って。」と促す。
『ああ。』と言って座ってくれたのを見て、のぞみはういろうを包んでいたビニールをバナナのようにペリリと剥した。
「はいオプティマス、あ〜ん。」
オプティマスの口元にういろうを持っていくと、不思議そうに『あ〜ん?』と首を傾げられた(何これ可愛い)。
「うん。あ〜ん!」
『…、あ〜ん。』
少し戸惑いがちにパクッとういろうに食らいついたオプティマス。
ああやばい超可愛い!と、脚をバタバタしながらニヤける顔を必死で抑える。抑えきれていないが。
『のぞみ?どうかしたか?』
「え?な、なんでもないよ!それよりさ、美味しい?」
『ああ、とっても!』
「なら良かった。あたしういろう買ったことないからさ、コレで大丈夫だったかちょっと心配だったんだよね。」
あはは、と苦笑するのぞみに『では食べたこともないのか?』と問う。
「うん。羊羹だったらあるけどね。あ、でもういろうと羊羹って作り方とか違うんだよね?」
何が違うんだろう、と何やら"考え中"になってしまったのぞみ。
『…そうだ。』
と、オプティマスはオプティマスで何を思い立ったのかは知らないが、やんわりとのぞみの手からういろうを取り、
「?オプティマス?」
『のぞみ、あ〜ん。』
素晴らしく綺麗な笑みを浮かべながら彼は先ほどののぞみと同じことを言った。
自分から相手にやるのは良いが、相手からされるとなると話は別。
予想だにしなかったまさかの展開に、のぞみはかああっと顔に熱が集中するのを感じた。
「えっ、あ、お、オプティマス…っ?!」
『あ〜ん。』
「あ、あの…っ!」
『あ〜ん。』
「え、と…。」
『あ〜ん。』
「う…あ、あ〜ん…。」
笑顔で待ち続けるオプティマスにとうとう折れパクリと噛った。
人生初のういろうを彼が食べさせてくれるだなんて思ってもしなかった。
実は嬉しかったのが、反面かなり恥ずかしかった。人にこういう事をされるのは慣れていないのだ。
ほんのりとした甘さが口の中に広がる。美味しい。
オプティマスの好物だというのも何となく頷ける気がする。
『美味いか?』
「う、うんっ。初めて食べたけど…美味しいね、ういろう。」
『それは良かった。ふふ…しかし、やはり良いものだな。』
「え…?」
『君と一緒に食べる方が、1人で食べるよりもずっと楽しいし美味しく感じる。』
「な…っ!?」
"誰かと"ではなく"君と"。
きっと素で言っているのであろうオプティマスにいよいよ心臓が破裂しそうだった。
誰か助けてくれ。あ、いやいい、やっぱそのままにしといて今死ぬほど幸せだから。
何だそれと突っ込まれそうな矛盾しまくっていることを考えながら、のぞみは色々と悶絶した。
『のぞみ、大丈夫か?先程からずっと顔が赤いのだが…。』
「…、オプティマスの所為でしょ…。」
『わ、私の?』
「まあ別に良いけどさ、気にしないで。」
『だが、』
「大丈夫。うん、ほんと。」
『…そうか?』
「うん。」
幾分か平静を取り戻したのぞみは、「じゃあ、」とオプティマスの手をそっと包んだ。といっても、のぞみの手では"覆う"と言った方が正しいのだが。
「次は、オプティマス。」
変わりばんこ。頬を染めはにかみながらそう言ったのぞみの様子に一瞬きゅんとしたオプティマス。
しかし持ち前の天然スキルの所為でそれが何なのか気づかないままに、次の時には『うん、そうしよう。』とふわりと笑い、再びういろうに噛り付いた。
『まったく他所でやってくれよ…。』
『くぅううう、食べ合いっこ羨ましいッス…!』
『(いいなあ、俺もミコとやってみたいぜ…。)』
『bibi〜♪』
『(その意気よのぞみ!)』
物陰に隠れているオートボットたちに、幸せそうにリア充している自分たちがずっと見られていたことを2人は知る由もない。
「(あれ?そう言えば、食べ合いっこしてるってことは…ッ!?)」
2014.08.23
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最後、ようやく間接キスに気づいた夢主ちゃんでした(笑)
食べ合いっこ、オプティマスに限らず皆としてみたいです(´ω`)
みんな反応違いそうで面白いかもw