青薔薇の園 (実写07)

□-プロローグ-
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 今から約20年前…それほど昔ではない過去に、大きな事件が起こった。
 老若男女問わず人が消えてしまうというものだ。
 “消える”と言うのは、その言葉通りに存在そのものが無くなってしまうのではない…どこかへと居なくなってしまうのである。
 まったくの痕跡を残さず、まるで元からそこに居なかったかのように。


 最初のうちは、アメリカの都市とその近辺で起こっていた。
 しかし1人また1人と消えてゆくに連れ、それは国中に広まっていった。


 警察はこれを大規模なある種の拉致事件と考え、犯人逮捕の為に総力を尽くした。





 だが…いくら探せども、犯人についても消えた人々についても手掛かりは一切掴めなかった。
 どこの監視カメラにもそれらしき人物は映っておらず、その上目撃情報すらもなく、ならば過去に拉致が起こった場所からパターンを読み取り次に被害が起こるだろう場所を予測しようとしてみても、それも不規則で予想がつかなかった。


 まさに雲を掴むような状況に、警察は皆お手上げだった。










 それから何年もの間、一向に事態が改善されないまま拉致被害は拡大の一途を辿って行った。




















 しかし、幸か不幸かそして何と奇妙なことか…ある日突然、それまでのことが嘘のように拉致被害が無くなったのだ。
 消えてしまった人々のように、突然、ひっそりと。















――とうとう、事件の手掛かりには掠ることすら出来ないままに。






























 これは、未だにその謎が解けていない世界でも有名な難事件の一つである。




 

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