創作

□こじつけ
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会長受け企画 会計×会長



体だけの関係に理由なんて、必要ないよね。

これは、この言葉は同じ生徒会という役職で協力し合っている会計の三森司〈ミモリ ツカサ〉がよく口にする言葉である。
チャラいというわけではないが、程良く乱れてる制服は彼が学園をまとめる存在、生徒会に所属することを否定しているようで御代田焔〈ミヨダ ホムラ〉にとってはもっとも嫌悪する存在だった。

焔自身、程良い性処理ならば口を出したりはしないものの、三森の下半身の噂は後を絶たず、副会長と注意を促しに行ったこともある。
しかし、注意を促しはしたものの、相手は貞操観念が低く楽しいこと気持ちいいことが大好きな楽観視ばかりのゆる男。
そんな言葉一つでやめていたらリコールの話まで出てはいない。

焔は、三森が嫌いだ。
だが、書類処理能力に関しては本物でなくす戦力としては惜しい人材なのだ。
へらりと笑いながらも周りをよく観察し、生徒会役員が無理をしながら雑務をこなしているといつも決まって三森が休憩をしようと騒ぎ立てる。
自分が疲れたからなのだと、あくまでその姿勢を崩すことはなく顔を緩ませ笑う。

そこが、大嫌いなのだ。
ぎりっと爪をかみしめ、風紀から回ってきた三森をリコールするための書類に視線を落とす。

どうして、なぜ。
なぜ、三森は本当のことを言わないのだ。

本当は、知ってる。
三森は性処理などを行ったことがないことを。
それならば、なぜ。
簡単だ、三森自身がへらりと笑いながらその噂を公言しているから。

本当は人一番周りを見ているくせに、自分の言いたいことを汲み取ってくれない三森に嫌悪感が増す。

焔の噛みすぎた爪を唇から誰かが外した。
バッとすぐ隣を見ると焔のもっとも嫌悪する相手が、三森司がいた。

「会長、いたいいたいだよ、前にも言ったよね、噛んじゃいたいいたいだって」

くしゃりとまるでそう言った自分が痛みを感じているかと思うほどに顔を歪ませる。

ああ、嫌だ嫌だ、意味がわからない。
どうして、俺を見る目はそんなに優しいんだ。
俺が、お前を嫌っていることなんて気づいているはずなのに。
わざと気づかせているのに!

「泣かないで、ねえ。やっぱいたいんでしょ」
「痛くなんか、なんでそん、な」
「ね、俺がリコールされたら嬉しい?」

言われた言葉に俯き、何も言わずに唇を噛み締める。
噛んだらダメ。
これも最近よく三森が焔にだけ口にする言葉。
三森は焔に対して優しすぎるのだ。
周りが気づかないほど些細なことでも三森は気づいてしまう。
焔は嫌っているというのに見返りをも求めずになんて、どうして。

嫌い、口の中だけで呟くが声にはならず口腔内で燻る。

「ンっ、ひはぅ…?!」
「唇も噛んだらダメ、ねえ、俺に消えて欲しい?」

口の中を三森の指がぐるぐるとなぞる。
上顎をすっとなぞられ口の端から唾液が滴り慌てて指を引き抜こうと右腕を上げるも、三森に掴まれ返答を求められる。
くちゅり。
そんな音に顔を赤らめながらも、ぶんぶんと首を振ると、指の動きが止まった。
俯き、表情は伺えないが耳は赤く染まっていた。
焔は内心首をかしげながらも指を舌で押し出す。

「もう、う、嘘つかないでよ。吃驚したじゃん。嫌いなんでしょ、」

俺が。

確かに、嫌いだ。
でも、

「…さっきの、」
「え?」
「さっきの俯いた時に、一瞬見えたあの顔」
「?」
「へらへらした笑いじゃなくて、ほんとに笑った…嬉しそうな?…その顔なら」
「っ」
「嫌いじゃ、ない」

そう言った時に見せた三森の表情に不覚にも焔の顔が赤らんだ。

嫌悪する、その理由はこじつけだったのかもしれない。





 

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