『大好きな嘘』

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『レイレ調子悪いみたいだからさ、ヒソカ迎えに来てよ。』

数分前のイルミから来た電話の内容を聞きヒソカは自室からでた。

カストロ戦以来、ヒソカはレイレとまともに会っていない。

連絡しようとしても電話にも出ないし、メールの返信も返ってこないから避けられているような気はしていた。

まだ怒っているのかと、少し思ったがそういうわけではないらしい。

だから、イルミのその連絡は意外だったし、嬉しくもあった。

指定された場所に行ってみると、イルミの姿は容易に見つけることができ、その隣にいる久しぶりの彼女の姿に少し安堵した。

「あ、来た来た。」

ヒソカがこちらに来ていることにイルミも気づいて、キョロキョロ周りを見渡していたレイレの肩を叩く。

ヒソカの姿を見ると、笑みを浮かべて軽く手を振った。

「昨日雨の中傘ささずに歩いてたの見かけてたからオレが預かってた。」

「イルミは心配し過ぎなんですよ。お手数おかけしてすみません、ヒソカ。」

「…いいよ◇どうせヒマだったし◆」

久しぶりに聞いたレイレの声。

こんなに声高かったかなと、何気なく思ったりして、レイレの表情の1つ1つさえも見逃すことが惜しくて、ずっと見つめる。

「それじゃ、オレ仕事あるから。」

「ありがとうございました、イルミ。」

別れ際にイルミはレイレの頭にポンと手をのせて、安心したように目を細めた。

手を振って、イルミはその場を後にする。

「…行こうか◆」

人通りの少ない道を、2人で並んで歩く。

どちらとも口は開かず、暫く沈黙が続いた。

「ボク、そろそろ天空闘技場を出ようと思います。」

先に口を開いたのはレイレ。

その意外過ぎる言葉にヒソカは目を見開いた。

「…それはまた急な話だね◇」

「前々から考えてはいたんです。でも何だか言いづらくて…。」

苦笑いをし彼女はヒソカを見上げる。

「もう少しゆっくりしてもいいじゃないか◆」

「ダメですよ。あんまり長居しちゃうと離れたくなくなっちゃいますから。」

「大事な用でもあるのかい?」

「…はい。」

少し間を開け、レイレは返答した。

どこか遠くを見つめるその瞳は、どこか寂しい。

「やらなくちゃならないことがあるんです。」




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