『大好きな嘘』
□prologue
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* * *
…ボクは血が好きです。
真っ赤でキレイな血液が。
ボクに怯えて命乞いをする奴らが愉快で、滑稽で、
そんな目で見られたら、ボクだって興奮しちゃいます。
こんな優男にすがらないでくださいよ。
情けない鼻水と涙でボクの服が汚れてしまいます。
「た、助けてくれッ!!」
その言葉何度目です?
つまらないなぁ。
男の足に刺さったままのナイフを踏みつければ、また深く深く刺さっていく。
痛い痛いと喚く男にうっすら笑みを浮かべた。
悪いですけど、ボクは神様でも、優しい天使でもありませんから。
…なんて心の中で呟いて、男の脳天にナイフを突き立てた。
返り血がついてしまったかもしれません。
呑気なことを考えて、既に屍となった男を踏みつける。
白いシャツに赤い斑点。
また新しいものを買わなくてはなりませんね。
ため息をついて、辺りを見渡す。
「…殺りすぎてしまいました。」
暗い路地裏に転がる、たくさんの死体。
「早くしないと、試験に遅れてしまいます。」
胸元の懐中時計で時間を確認し、血溜まりを歩いた。
端から見れば地獄絵図。
ボクから見れば、ただの道。
「いい暇つぶしになるといいですが…。」
苦笑して、目的地を目指した。
…―――そう、ハンター試験会場へ。