『大好きな嘘』2

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…レイレが連れて来られたのは、町の外れにある廃墟だった。

少し強い衝撃があれば、すぐにでも壊れてしまいそうで、少し妙な不安を感じる。

歩きやすいとは到底言えない地面を歩き、黙ってメンバーの後ろをついていく。

欠伸をしようと口に手を当て、先程殺し損ねた男が拘束されてる様子を見て同情の視線を送った。

「だれだ、そいつ。」

暫く歩けば元は広間のような、瓦礫が積まれた場所に行き着き、そんな誰かの問いかけに顔をあげる。

「仕事の邪魔されたんだよ。何かコミュニティーとは全く関係ないみたいだけど、妙な能力持ってるから生かしてつれてこいって、」

『団長が』と続けると、それじゃあ仕方ないと言いたげに相手は息をつく。

だが、今この場にその"団長"は居ないらしく、声をかけられることはなかった。

レイレはそれぞれ瓦礫に腰掛ける団員たちに目を向ける。

何事もなくここまで来たものの、油断はできない。

少しでも状況を把握したいというのが本音だった。

今口を開いた男の他に、長身の女が1人、全身に包帯を巻いている男が1人、もはや性別もわからない小さな影が1つ。

「…戻ったか?」

暗闇から聞こえる声に振り向く。

コツコツと響く足音。

それでも注意深く辺りを見渡すことはやめない。

「ウボォーが敵に捕まった。」

淡々とする仲間の現状報告に、相手はしみじみと話を聞いている。

おそらく彼が"団長"。

警戒心を強め、けれど表情は崩さないように努めた。

「そこにいるのは?」

「仕事の邪魔した奴。フェイタンが苦戦してたみたい。」

背中に冷たい視線を感じる。

間違いなく彼、フェイタンの視線だ。

本日何度目だろう、溜め息をつき、頭を抱えたい衝動を抑える。

辺りに灯る蝋燭の光で、徐々に現す団長の姿。

オールバックの髪型で、高そうなロングコートを着ていた。

しかし何故だろうか、こちらを見て驚愕したように目を見開いている。

「…お前、レイレ…?」

「え?」

何故自分の名前を知っているのだろう。

彼とは初対面の筈なのだが…。

「どこかで、お会いしましたか?」

素直に疑問を口にすれば、『あー』と相手は悩ましげに声を漏らした。

腕を組んで少し悩んだ後、何を思ったかクシャッと整った髪型をわざわざ崩す。

「…これならわかるか?」

前髪を下ろし、額の十字のマークを隠すようにこちらに顔を向ける。

「あ、……あぁー!!!」

思わず指を差して声をあげる。

なんて自分は間抜けなのだろうか。

「あの時の、泥棒さん…!?」

彼こそが正真正銘自分が探していた人物であると、今更になって気づくなんて…。

周りの視線が突き刺さる。

面倒事はまだ片付かないだろうと心中悟って、ついに頭を抱えた。




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