俺は友達が少ない

□闇鍋=毒物
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……あー


…んー


…えー



……何だこれは…?


…とある一室の、ドア机の上の、とある土鍋

今その鍋は、凶器と化していた。


コンロに掛けている訳でもないのに沸々と音を立てている土鍋は、何故か奇妙な不気味さを漂わせている

いや、始めに言っておくがもちろん俺一人でこんな事をやってる訳じゃない

同じ部活に入部している全員が『こんな事』をしているんだ

丁寧に一人一人名前をあげていくと、一人目は羽瀬川小鷹、俺の義弟だ

まぁ、こいつは髪の毛がくすんだ金髪だとか、目付きが悪いとか容姿の特徴から見て取るとまんまバッカでイかれた不良が髪の毛を染めたいけど染めに行く金がなく仕方なくスプレーで染めようとしたらものの見事に失敗した、と見てしまう

だが性格はお人好し、家事全般得意、とそこらの男子生徒とは全然違う

そして次に柏崎星奈、通称肉、金髪碧眼で巨乳、運動神経抜群で成績は毎回学年トップ。

しかも容姿端麗と言った一見完璧な肉に見えるが、こいつは残念な、非常に残念な事に性格が悪い、家が大金持ちな為周囲をみくだす傾向があるのが唯一の欠点だ

しかしこの肉にもたかがギャルゲーに物凄く情熱を注いだり、部の活動には全力で取り組んだりと良い所も沢山ある

次は楠幸村
女みたいな男、メイド服を着ていて、ゆったりしたペースで喋る、俺も最初見た時は女が男の制服を着ていると思ったから多少驚いた、そしておまけに何か言うならば、小鷹の舎弟だ

そして志熊理科、こいつはなんと言うかもう…あれだ、変態だ
そして腐女子……ひーえる好きでもある
こいつの良い所を言えと言われたら俺はどんな顔をするだろうか…


そして年少組の羽瀬川小鳩と高山マリア、小鳩は俺と小鷹の妹で、マリアはいつの間にか小鷹の妹と言うことになっていた、それに気に食わない小鳩と、小鷹を取られたくないマリアが毎回喧嘩している
…ついでに言えばマリアは十歳だ、しかしそんな幼い年齢でシスター兼この部の顧問も務めている、影の努力者だ。


んで、最後に俺、俺はただの小鷹と小鳩の義兄、おしまい

ふぅ、やっと全員分終わったか…結構長くなってしまって申し訳ない


「…おい凌、ちょっと待て」


「あん?」


知らない女性が俺に話し掛けて来た、誰だこいつはこんな奴は部員には居なかった


その謎の女性は、髪の毛はボサボサの汚い黒髪で、容姿はお世辞にも普通とすら言えない可哀想なレベル、体型は百kgは越すだろう巨体、つまり世の中にゴロゴロいるブスだ。


「声に出てるぞ…凌」

「おっと失礼お前がブスだなんてもう読者さんみんな分かってるか、なのにわざわざ喋ったせいで無駄に二酸化炭素を出してしまった、地球よごめんなさい、読者さんごめんなさい」

「くっ……貴様が謝る事でまた無駄なCO2が生まれるのだ、というわけでもう喋るな寄るな動くな」

…正直に話せば、こいつは三日月夜空、容姿は良いし、黒髪も綺麗だし、太ってもない、細身だ。

だがこいつに本当の事を喋るのは何故か無性に恥ずかしくなる、だから口喧嘩になってしまったりする

「誰もお前に寄りたい何て言ってないだろ、もしかしてお前、鏡で自分の顔見たことないのか?いやあるわけないか、あったら寄るなとか言わないよな、だって見たことあるのなら自分の顔がどれほど醜いか知ってる筈だから、お前が寄るなと言わずとも寄らない事くらい分かるもんな。」


俺がそういうと夜空は顔を真っ赤にする

ある理由で部屋が真っ暗な為見にくいが、今俺と夜空は結構近い距離にいる為目が慣れてお互いの顔位は見える、夜空は、ある意味で自分は自意識過剰だと言われたのが恥ずかしかったんだろうな


…いや、見とれてないから、本当だから!


そして夜空はまた口を開こうとしたが、止めた、どうやら良い案が浮かんだ様だ

「ふん、今は口喧嘩など不毛だったな、これがあるではないか」

夜空は土鍋を指差す


…あ、忘れてた、…今俺達…『闇鍋』やってたっけか

闇鍋、事の発端は数日前、肉が部室でやっていたギャルゲーに友達が集まって鍋パーティーをするシーンがあり、たまたま夜空がそれを見てしまい『一緒に鍋を食べるというのはいかにも仲の良い友達という感じでいいな』と言った。

そして夜空は

『友達と鍋をやるときに失敗しないように、この部で鍋の予行演習をしておこう』


と言い出しやがった


他の奴らはみんな賛成したのだが、俺は反対。
その時の小鷹の「そろそろ素直になったらどうだ」とか言う発言には心の底から反論したかった。

それからまた俺と夜空の口喧嘩が始まる

「だいたい鍋の練習って何だよ、んなもん練習しなくても本当の友達ならリードしてくれるだろ?」と俺

「あーやだやだ、こういう奴に限って本当に鍋をする事になったら訳が分からなくて友達に迷惑を掛けて嫌われるのだ、それに嫌なら凌だけ来なければ良い、この部の部長は私だ」と夜空


「ならお前を退部まで追い込む程度にいじめれば次は俺が部長だな」

正直、イジメは嫌いだからしないけど

まぁ、イジメは嫌いでも弄るのは好きだからな、夜空とはそこんとこは気が合いそうだ


「大丈夫だ、私が退部しても部長は凌ではなく小鷹だからな」


「はぁ?んな事は退部する奴には関係ないだろ」


「では今からこうしよう、部長はもし退部する事になれば、次の部長を決めてもよい」

…まぁこの先も俺と夜空の言い合いは続いたが、長すぎる為割愛

結局俺の屁理屈は夜空に勝ち、流石に罪悪感を覚えた俺は

「そういや鍋って色んな種類があるが何すんだよ?場合によっては参加してやる」

と素直には言えなかったが遠回しに俺も鍋食いたい、と伝えた

とりあえず俺を暖かい目で見守ってやがった小鷹は睨んだ
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