時間と角砂糖。
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ーーーーある意味、自分の順応性が怖いと思った
目の前に広がるのは、いかにもといった高級感あふれるアンティークもののティーカップたち
その中をのぞけば、何ともいえない高貴な香りと、トパーズ色が見え隠れする
「うちの紅茶は気に入ってくれたかな
お嬢さん」
「えぇ、すごくおいしい」
そういって、私の髪をなぜかいじくるのは
マフィアのボス
(あぁ・・・私、なんでこんなに馴染んでいるんだろうか?)
自分でも、可笑しいと思う疑問は考えたって答えはみつからない
私はとりあえず、目の前の紅茶に一口、口をつけると小さなため息を漏らしたのだった
−−−−「それじゃあ、また会いましょう
優愛」
「うん、またねアリス」
そういって、屋敷を後にしたアリスを見送った私は、用意された席へと腰を下ろした
いつの間に出来ていたのか
テーブルの上には沢山のお菓子と人数分の紅茶が入ったティーカップが置かれていた
「お茶会って初めてだけと
結構盛大なんだね」
「盛大?これがか?
君は面白いことを言うな、お嬢
さん」
クックと喉の奥で心底可笑しそうに笑われた
(どーせ田舎育ちの私にはこんなの一生お目にかかることなんてないですよ!)
(それにしても…)
席に着いてから、やたら感じている視線の方向に私は恐る恐る顔を向ける
目が合えば、一瞬驚いた顔をして
下がった耳を一段と垂れさせるその姿からは
さっきまで、私を殺そうとしていた人物と同一人物だとは到底思えなかった。
「?・・・・」
「あのよ・・その、さっきは悪かったな
あんな事しちまって、でも悪気はなかったんだぜ!?許してもらえるとは思ってねぇけど、これだけはいいたくてよ」
「あの・・私」
「でも、ブラッドのことは嫌いにならないでくれよ!ブラッドは本当にすっげぇやつで」
「ま・・まって!だから私は」
「とにかく強くてかっこい」
「エリオット、お嬢さんの話を聞かないか」
・・・・
ブラッドがそこまで言って、やっと彼の言葉の連打が止まった
「私は、もぅ気にしてないから
貴方のこと嫌いになったりしないし
安心して」