short

□simple-minded
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「ねえ清田、神先輩ってどんな人がタイプ?」
そんなんオレが知るかってんだ。
第一、神さんは好きになった人がタイプだっていう男だ。
「ノブー、神先輩って芸術の授業何選択してる?音楽?美術?それとも……」
だからオレはそんなん知らないって。
「ノブ君、これ調理実習で作ったんだけど、神先輩に渡してくれないかなぁ……?」
オレにはないのかよ!?
「ノブ、ちょっと昨日神先輩が告白されたってホント!?相手は誰!?何て答えたの!?」
だーかーらー、何でオレに聞くんだよ!
そんな話オレだって今初めて聞いたぞ!

だー、くそっ!!
オレは神さんとお前らの間にある橋じゃねーぞ!



simple-minded



清田信長。海南大付属高等学校1年。
神奈川bPルーキー。
強豪海南において1年の夏からレギュラーを獲得し、インターハイ予選ではベスト5こそ逃したけれど(見る目ない奴もいたもんだ)、次世代の海南を背負って立つ男だと自負している。
ところがだ。
オレの周りの女どもときたら、口を開けば神さん神さん。
目の前にいるこのオレを差し置いて、だ。


いや、男のオレから見ても神さんはいい男だと思うし、実際いい男だ。
ルックスは言うまでもないけれど、ポジションをコンバートされても強豪海南でレギュラーを勝ち取るくらいの努力家だし、何と成績もいい。
部活の後に毎日自主練して、その上あの成績はバケモンだ。
その上フェミニスト。
落ち着きもあるしな(牧さんとは違った意味の)。
これで騒がれないはずがない。


でも。
にしてもだ。
オレだってレギュラーを勝ち取るために死ぬほど練習してるし。
頭は……あんまりよくない、っていうかはっきり言ってアホだけど、体育の成績は抜群だし。
女の子に冷たくあたることもないぞ。
落ち着きは……まあいいとして。
顔は……そこまで悪くないハズだ、きっと。

それなのにこの差。
この扱いの差。
これが今流行りの、「格差社会」ってヤツか?


オレだって身の程知らずじゃないから、神さんにかなうなんて思っているわけじゃないけれど。
かなわなくって当然なのかもしれないけれど。
それにしたってヒド過ぎる、と思う。
オレだってちょっとくらい騒がれたっておかしくないハズなのに、一体何なんだ!?何故なんだ!?


「清田ー、神先輩ってクラスマッチやっぱバスケに出るのかなあ?」
だからな……。

オレがそんなん知るかってんだー!!



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