short

□from web clap
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「せーんーどっ」
ああ、君のその声がどのくらい俺を惑わせるかなんて、君にはきっと分からないだろう。
「何?どした?」
「今日、越野くん朝練来るの遅くなかったー?どしたん?」
ああ、君のその目にはやっぱりアイツしか映らないのか。

「んー、何だったかな?」
…本当は、偶然出会ったおばあちゃんを駅まで道案内して遅れたんだけど。
アイツが体育館に来る前に学校にお礼の電話があったんだけど。
そうとは知らないアイツは「寝坊して遅れました」って言ったんだけど。
それがまた君の瞳を輝かせることを知っているから、俺は、言わない。

「もー、しっかりしてよ!キャプテン!」
ああ、君が俺を叱咤激励するのは、アイツの為なのか?
困ったようにへらっと笑う俺に君の一言。
「バスケしてる仙道はかっこいんだけどね。キャプテンとしても頼れるって専らの評判だよ?」
ああ、もしその話が越野の受け売りだったとしても。
「がんばれ、仙道!」

俺は君のその一言で、ただそれだけで。
いつもより頑張れる気がするよ。


END



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