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□under the sun 3.5
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3.5
オレがバスケから離れたのは。
バスケが嫌になったからじゃねえ。
オレがバスケできない間に実力をつける奴を見るのが、嫌になったらだ。
オレ以外の奴がチームに必要とされるのを見るのが、嫌になったからだ。
何より、オレがチームに必要とされなくなるかもしれないのが、嫌になったからだ。オレが認められなくなるかもしれないのが、嫌になったからだ。
…バスケができないオレが、嫌になったからだ。
でも。
結局オレはバスケから離れられなかった。
バスケから離れてアイツらとつるんでた頃、部屋に戻って一人になった時によく安西先生の言葉が浮かんだ。
「最後まで、希望を捨てちゃいかん。諦めたらそこで試合終了だよ」
耳の奥で、あの囁くような声が、何度も、何度も、繰り返し響いてた。
バスケ部に乗り込んで、反吐が出るほどくだらねえことやらかして。
それでも、オレを思って庇ってくれる仲間がいて。
やりたい放題やったのに、仲間でもねえのに庇ってくれるバカな後輩がいて。
…そん時、誰が言ったか知らねえけど、中学ん時に聞いた言葉が浮かんだ。
希望は人を見捨てやしねえ。人が希望を捨てるんだ、ってな。
今さらオレにできるかどうかなんて、やってみなけりゃ分からない。
それでも。
やらないよりはずっといい。
投げ出すよりはずっといい。
笑いたければ、笑えばいい。
バカにしたけりゃ、すればいい。
もうオレには、これしかねえんだ。
END