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□さいこぱす
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ひさびさに欲しいモノができた。
2週間前に隣のクラスへ転入してきた川津和紀。
かわいらしい容姿をしていて、成績も優秀。コミュニケーション能力も長けており、彼女はあっという間にこの学校に自分の居場所を作り上げたようだった。


「お、川津。What's up?」
「蓮実先生!おはようございます」

ふわりとやわらかく笑う彼女の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
細く繊細な髪の毛はふわりとやわらかく、心地よい。

「わっ、せ、先生・・・!」
「学校はどうだ?楽しくやってるか?」
「はい、クラスの人も先生もいい人ばかりで・・・」

照れたように乱れた髪の毛を手櫛で整えながらキラキラ輝く笑みで答える川津につい笑みが漏れる。
・・・しかし、本当に惜しいことをした。
まさか転入生がこの時期にやってくることが、随分前から決まっていただなんて。
クラス決めの時に知っていれば手を回しておくことなんてたやすいことだったのに。

「・・・ったく、本当お前がうちのクラスだったらいろんなこと教えてやれるのにな」
「ふふ、なんですかそれ」
「あ、笑ったな?先生の純情な気持ちを・・・こうしてやるっ!」
「っきゃ、せんせえっ!」

やめて、と笑いながら制する川津に自然と顔が緩む。
なんともそそる反応だ。きっとうまく調教することができたら、それは、きっと・・・。

「川津、そろそろHRはじまるぞー」
「真田先生!」
「あ・・・蓮実先生。おはようございます」

ふと会話に割り入ってきたのは隣のクラスの担任でもある、同僚の真田先生だった。
正直いいところを邪魔され気分はがた落ちなのだがそんなこと億尾にも出さず笑顔でおはようございます、と笑う。
真田先生は川津の頭を軽く出席簿で叩いて教室入れーと爽やかに軽やかに笑った。


「あっ、それじゃあ失礼します!」
「ああ」

一礼を残してパタパタと教室へ駈け込んでいく少女の後姿を見つめる。
ああ、何とも愛らしい。
小さな欲望は時とともにふつふつと大きく育っていくのだ。

本鈴が鳴り、真田先生は今日もお互い一日頑張りましょう。そう言い残して少女の後を追うように自身の教室へ入っていった。

・・・本当、おしいことをした。
2週間にしてはなかなか懐いているようだが、それ以上に・・・俺以上に、真田先生に懐いていることは一目瞭然だった。
このハンディは大きい。

「・・・ほしいな」

やっぱり、どうしても手に入れたい。
どうしたら彼女は俺の手の中に収まるだろうか。
クラスが違うだけでこうもやりにくいのか。
いや、まだ英語の授業を受け持っているだけでも幸運だと思おう。接点は、ある。
どうにかしてもっと濃い関係を、担任よりも信頼のできる教師に。

頭のなかでいくつもの道を描き、これからの未来を考えながらニヤリ口元に笑みを浮かべた。


END

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