修行
□10.流れ星に願い事
2ページ/3ページ
ベルは、紫音を回転させ、正面から抱きしめ、紫音の顔を自分の胸元へと抱き寄せた。
『ベル、服濡れちゃう…』
「大丈夫…紫音、泣きたいなら泣きたいだけ泣け…」
真面目な優しい声音で言いながら、髪をすくベル。
ベルの言葉に堰が切ったように泣く紫音。
しばらくすると、落ち着いたのか、紫音がぽつりぽつりと話し始めた。
『あのね…』
その内容は、1年前にヴァリアーに拾われる前の紫音のことだった。
拾われ、ヴァリアーで生活するまで、紫音は愛されるということが全くわからなかった。
幼い頃から、不思議な力があって、忌み嫌われていた。ただ1人理解し、優しくしてくれたのが祖母だったが、小学校に上がる前に病で倒れ、そのまま他界してしまった。
その後は、1人で誰にも頼らず生きてきた。薄汚いこともしてきた。でも、それしか生きてくにはそれしかなかった。
丁度1年前、生きて行くのに疲れた。もう、どうなってもよくなったときに、ヴァリアーに拾われた。
.