修行

□10.流れ星に願い事
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ベルは、紫音を回転させ、正面から抱きしめ、紫音の顔を自分の胸元へと抱き寄せた。

『ベル、服濡れちゃう…』

「大丈夫…紫音、泣きたいなら泣きたいだけ泣け…」

真面目な優しい声音で言いながら、髪をすくベル。

ベルの言葉に堰が切ったように泣く紫音。



しばらくすると、落ち着いたのか、紫音がぽつりぽつりと話し始めた。

『あのね…』

その内容は、1年前にヴァリアーに拾われる前の紫音のことだった。

拾われ、ヴァリアーで生活するまで、紫音は愛されるということが全くわからなかった。

幼い頃から、不思議な力があって、忌み嫌われていた。ただ1人理解し、優しくしてくれたのが祖母だったが、小学校に上がる前に病で倒れ、そのまま他界してしまった。

その後は、1人で誰にも頼らず生きてきた。薄汚いこともしてきた。でも、それしか生きてくにはそれしかなかった。

丁度1年前、生きて行くのに疲れた。もう、どうなってもよくなったときに、ヴァリアーに拾われた。



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