修行

□04.ラブソファ
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「ただいま〜…!?」

一緒に住んでいる彼女はもう、ベットに入って寝ていると思い、そーっと誰もいないと思う、リビングへ静かに向かう。
と、そこにはベットで寝ていると思っていた彼女ー紫音ーがいた。


《ラブソファ》


「ったく、ちゃんとベットで寝ろよ…」

『ん……すぅ…』

一人言呟いたら、紫音がみじろいて、驚いたけど、その後すぐ安らかな寝息が聴こえてきて、安堵した。

「はぁ…しょうがねな…」

タオルケットを取りに寝室に取りにいこうとすると、いつの間にかジャケットの裾が握られていた。行こうにも行けなくなってしまったので、ジャケットを脱いで紫音に掛けてやる。

ふと紫音が『…しょう…ちゃん…』と、寝言を言ったと思えば、閉じられているまぶたから、涙が一筋流れ落ちた。

紫音の涙の理由は、多分このところ、立て続けに仕事が入っていたせいだと悟った。

「ごめんな…なかなか、一緒にいてやれなくて…」

俺は優しく、髪をなでながら言ってやると、少し表情が和らいだ気がした。


最近は、仕事ばかりで、家には寝に帰っている位だった。そのせいか、しばらく紫音と言葉を交わしていない。頑張ったおかげか、明日(ってか、時間的には今日)は丸々1日オフになった。だから今日は、ずっと一緒にいれなかった紫音を甘やかしてやろうと思う。

「このまま寝ちまったら、体調崩しちまうし、運んで寝るか…移動してる間に起きねぇといいけど…」

そっと紫音を姫抱きし、寝室へと向かった。




 
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