リクエスト
□破壊大帝の間違った知識
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拍手連載番外編(かもしれない)
「ヴァレンタイン?」
「ええ、知らない?」
小僧と一緒にやってきた小娘(カーリー)の言葉にワールドワイドウェブにサーチを掛けた。
手の平に乗っている物好きな小娘は、俺様からの返答を待っている。
本当に物好きな娘だ。
「番に物を贈る祝日だな」
「ううん・・・間違っては無いかな。
ちゃんとした答えは恋人や大切な人、お世話になった人に感謝のプレゼントを贈る大事な日。
日本では恋人にチョコレートを贈ったりするんですって」
日本、と聞いて僅かに反応したが気を取り直した。
「贈ってどうするというのだ。謝礼は貰えるのか?」
おそらくその文化は俺様が死んだ後にできたものだ。
大体検索結果には女が男に物をやる風習というのが出ている。
俺は男だから関係ない。
「大事なのは謝礼じゃないわ。大切な人たちに喜んでもらうのが大事なの」
「ほぅ?貴様の場合はあの小僧か?」
「ええ、勿論!」
満面の笑みを浮かべる小娘に、思案する。
「物をやる以外に表現の方法は無いのか?」
「サプライズで、喜ばせるために行動を起こす人もいるわね」
「・・・・・・・・さぷらいず」
妙に幼稚な発音で言われた言葉を聞いたカーリーは、きょとんとしたが、
すぐに変わったあくどい彼の顔に、少し困った顔をした。
―――もしかして、余計なこと教えちゃったかしら・・・・
ヴァレンタイン当日
男からすれば待ちに待った聖日は、軍部も例外ではなかった。某大佐なんて愛妻と愛娘に貰えると考えているのか、スキップしながら移動している。
いつもとは違う浮き足立つ人間達を、トランスフォーマー達は疑問に思い、
一番初めに聞いたのはオプティマスだった。
「エップス、今日は皆浮き足立っているようだか・・・何かあるのだろうか?」
「ああ、今日はヴァレンタインだからな!」
「ヴァレンタイン・・・」
エップスから言われた単語を素早くサーチにかけるトランスフォーマー達。
数泊置いて、そこら中から電子音が鳴った。
「男性が恋人から菓子を貰える祝日か。」
「そうそう。だから野郎共は浮かれてるんだろうよ。」
そういう俺も今朝嫁さんから貰ったけどな!と笑うエップスに「成る程」と相槌を打つオプティマス。
その時、オプティマスを含め、トランスフォーマー達の聴覚センサーに
NEST隊員達のある会話が聞こえた。
「メガトロンさん何処にいるか知らないか?今日中に届けるデータがあって・・・」
「メガトロンなら今日は厨房にいるぜ。
なんでも『今日中に作らねばいけないものがある』とか・・・」
「え、もしかしてチョコレートとか?」
「・・・いやいやまさかー!」
「そういや今日はツインズも見かけないな・・・」
ナイナイと首を振る隊員達の話に聴覚センサーを最大にして聞くトランスフォーマー達。
皆外見なら立っているだけなので誰も「盗聴だろ」とツッコむ者は居なかった。
バレンタインに厨房で作るもの
『・・・欲しいならくれてやる。』
彼らのブレインに浮かんだのはチョコレートを赤い顔で渡す破壊大帝だった。
その後、人間より人間臭い彼らは、
それぞれ浮かんだイメージに加工していくか、必死に消そうと格闘している。
そんな中、渦中の人物が事件の中に飛び込んできた。
「貴様等、ここにいたのか」
「め、メガトロン様!」
現れたメガトロンに、真っ先に反応して傍へ寄ったのは、
ブレイン内のイメージと格闘していたメガトロン様大好きスタースクリームだった。
「おお、スタースクリーム。
お前に渡したいものがあるのだ」
「!!!?」