04/17の日記

17:09
「記憶」官+隆
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「官兵衛殿」

官兵衛の傍らに半兵衛はいなかった。

「やはり、半兵衛は…」

「ああ、仕事を私に託し、逝った…」

「そう…ですか……」

前に戦った時の半兵衛の不調は明らかだった。

その時の官兵衛の必死な対応……。


「……あなたは…優しいですね…」

隆景が官兵衛を見て言う。

その言葉は官兵衛にとって、半兵衛との一つの思い出のようなものだった。

『官兵衛殿は優しいね…』

自分には似合わない言葉を当たり前のように口にする。
わかりきったように、はっきりと。

全く同じ言葉を言った隆景に半兵衛を思い出す。


「……どうしました?」

「いや、何でもない…それより、卿は何故私が優しいなどと思う?」

「……何故、でしょうね…でも、あなたは自分で言う程、非情な人ではないことはわかります」

「………」

「…私は、あなたをそんなに知っているわけではありません……ですが、そう思うんです」


「……あのような顔で、秀吉様の天下が見たかった…と訴えられては…秀吉様の天下を、半兵衛に見せなければならない、そう思った……」

あのような顔というのは大体想像はついた。
隆景など、他人には見せない、気を許した相手にだけ見せる顔。


「……あなたはやはり、優しい方です……」

「これはただの仕事だ」

いつぞや元就が言っていた、「強がりも官兵衛が言うと説得力がある」という意味が今でも分かる気がする。
今は強がりというより意地っ張りのようにも見えるが。

そう思った隆景の横で官兵衛がぽつりと言った。


「死んだ者は……何より強いものだな……」

「……そうですね……止まったままですから…姿も、思いも……その時のまま……」

「そして、生きている者の記憶に残り続ける……」


半兵衛を看取った官兵衛は半兵衛の最後の顔、言葉を忘れることはない。


隆景は官兵衛の中には今でも、半兵衛しかいないのだと、そう思った。

そして、そんな官兵衛になら、協力したいとも思った。

例え、官兵衛がそれを望んでいないとしても………。









――――――――――――――

イベント「半兵衛の死」を観て……

「秀吉様の天下、世を築きたかった」と半兵衛が言っていたので


その半兵衛の願いを叶えてあげようとする官兵衛を書きたかったんです……

そしてそれを理解してそばにいてあげたい、協力したいと思う隆景

切ないっ


どうも私の書く官半はこんな…暗いというか、切ない感じになってしまう……

好きなんですけどね
切ない官半

次っ次こそは甘い感じの官半をっ!

もう病や離ればなれとか無視の甘いのをっ!

書きたいです……



 
 

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