04/12の日記
13：56
「二度と会えぬなら……」官半
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官兵衛が荒木村重の説得に向かって二日は経った。
「半兵衛様」
「ん？どうしたの松寿？」
「父上は……無事帰ってこられますでしょうか？」
官兵衛の息子、松寿が心配そうな顔で半兵衛に問いかけた。
「大丈夫、官兵衛殿は帰って来る…必ず」
「……はい」
そう言ったはいいものの、確かに帰りが遅い。
もしかしたら…説得は失敗し官兵衛は斬られたのではないか……。
嫌な考えが頭に浮かんだ。
(官兵衛殿……)
官兵衛説得から数日後。
秀吉が焦った様子で半兵衛に言った。
「の、信長様が官兵衛の息子を斬れと仰ったっ！」
「っ！？」
信長は官兵衛が帰って来ないことを説得など最初から嘘で信長を裏切るつもりだったのではないかと言うのだ。
「……秀吉様は……どう…お考えですか？」
半兵衛は冷静に秀吉に聞いた。
「…官兵衛がわしや信長様、上の者を裏切るような馬鹿なことをする人間だとは思っとらん」
「…では、松寿を斬れとの命令には従うのですか？」
「わしも罪のない子を殺したくはない…ましてや官兵衛が裏切ったっちゅう証拠もないんじゃ…」
「……なら、俺に考えがあります」
「考えとは？」
「斬ったと言って密かに松寿を匿うんです」
「っ！？」
半兵衛は信長の命に逆らうという大胆なことをさらりと言ってしまった。
「でもそんなことして……もしわかったら……」
「大丈夫です…その時は俺が責任を取ります」
そう言う声色にいつもの軽い感じはなく、真剣だった。
官兵衛を信じきっている。
秀吉にもそれはわかった。
「半兵衛、それは格好良過ぎるんじゃないか？」
「え……」
「わしも責任を取る、お前達の主君として…」
「…じゃあ…お願いしますね」
でも、と半兵衛は続けた。
「もし官兵衛殿が戻ってくる前に嘘だとばれてしまった時、俺がいなかったら…その時は迷わず俺の勝手な行動だと言って下さい」
にこりと笑い
「俺がいなかったら、秀吉様一人で責任を負わなきゃいけなくなりますから…」
と言った。
その笑顔には悲しみも含まれているようにも見えた。
自分はもう長くない。
自覚しているからこそ置いていくことが怖い。
『……本当に官兵衛殿が行くの？』
『他に誰が行くと言うのだ？私ならまだ、警戒され難い』
『俺には……嫌な予感しかしないんだけどな……』
『予感、だろう？卿が心配することではない』
『そうだね……ごめん』
『……？』
『じゃあ…官兵衛殿、気をつけて……俺、待ってるから…』
『……ああ…』
「待ってる」
一番自分が使えない言葉。もう、明日にでも来てしまいそうな最期。
それを自覚していなければ、もっと気軽に言えることが出来たのだろうか。
その言葉を発した時、待つことなど出来ないと悟ってしまった。
病のことは官兵衛も知っていた。
だが、その病が今、半兵衛をこの世から旅立たせようとしていることなど知るよしもなかった。
(俺的には好都合だけどね……)
知らないほうが、彼の負担にならない。
そして今やらなくてはならないこと。
官兵衛のたった一人の息子、松寿を死なせない。
そんなことしか出来ない自分が情けないけど。
それが一番彼のために出来ることだと思うから。
それに、
もうきっと会うことなど出来ないだろうから。
「俺は…今出来ることをやってから…逝くよ…」
命令がくだされて数日後。
秀吉は松寿を斬ったと信長に伝えた。
松寿は半兵衛の領地で匿った。
「松寿、重門と仲良くしてやってね」
「はい」
父親がいないというのに、数日前のような不安な顔はもう見せない。
「…早くから似てるんだから…」
半兵衛は松寿の頭を撫で、自室に戻った。
もう…会うことはできない。
わかっている、もう、どうしようもないことなんて。
仕方のないことなんて。
わかっているはずなのに……。
何故、涙が出るのだろう。
「もう……俺、情けないなぁ……」
一度流した涙は止まることはなく、溢れてくる。
こんなにも死を恐れたことはない。
(生きて、官兵衛殿を迎えたいのに……)
涙を拭い、一人微笑む。
(官兵衛殿、俺、嘘つくことになるね……)
官兵衛の疑いが晴れ、有岡城から救出された。
その時、半兵衛はもういなかった。
半兵衛のとった行動は彼の思った通り、官兵衛にとって大きな救いとなった。
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お、終わり方こんなんでいいのだろうか……っ！
でももう延ばすのは辛かったんで
話的にも私的にも
史実沿いの話にしてみました
松寿を匿ったの半兵衛ですよね？(不安になってきた)
まぁ、違くても
二次創作なんでっ！
でも、官兵衛と半兵衛って官兵衛が荒木の説得行ってそのまま幽閉されちゃったから
再開出来なかったんですよね……
悲しい……
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