戦国無双3

□共に…
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半兵衛が倒れて何日かはたった…今では私の日課は半兵衛の部屋へ行くことになっていた。前は半兵衛が来ていたのに。今日もいつものように障子を開け部屋に入った。
「あ……今日も来てくれたの?飽きない?毎日毎日…前みたいに迎えられないのに」
正直そんなことを言ってほしくはない。そんな笑みを作っていても本当はとても苦しいのだろう。病気で倒れてまで笑顔を作っているのは…私に心配をかけさせないため…こんなにも分かりやすいそして無理な気を使う…。私がそれに気付いていることはまだ卿はわかっていないだろう……無論、わからないようにしているのだから。だが…そのつもりでいたいのだが最近、その力のない笑顔を見ているのが耐えられたくなってきた。毎日毎日その笑みを作らせているのは自分ではないのか…と気付きだしてきた。
「どうしたの?暗い顔して…っていつものことか」
また……いつもの笑み。見ていられず目をそらした。
「ねぇ……もう……来なくても……」
「何か言ったか?」
「何でもないよ…ねーえー静か過ぎてつまんないよ何か話して?」
「悪いが卿に話してやれる話を私は持っていない」
「そっか…ごめんね…わがまま言って……じゃあ…このまま静かに死のっかな…」
「その程度の軽口が開けるならまだ死なぬだろう」
「えー?俺もう体ほとんど動かないんだから…あと…最近瞼も重いし…逆に…毎日苦しいんだ…目が覚めて…ああ…まだ生きてるんだ…って…嫌なんだ…官兵衛殿に心配させて…でも結局先に逝くことになるなんて…俺…辛いよ…っ!」
涙を溜め本音を言った。
「何故……後に残る私の心配をする?本当はそんな余裕もないのだろう?毎日…私に心配かけぬよう……無理に笑って…」
「官兵衛殿…」
「すまぬ……私のせいで……無理をさせてしまった…」
「官兵衛殿…違う……官兵衛殿のせいじゃない……これは俺の………!?」
半兵衛の言葉を口付けで遮った。いきなりで体をばたつかせ必死で私を引き離そうとする。
「……はぁ……」
唇を離せば半兵衛の顔は涙で濡れていた。
「官兵衛殿…染ったらどうするのっ!」
「構わぬ……」
「駄目に決まってるでしょっ!!」
「口付け程度では染らん」
「…馬鹿っ!…馬鹿だよ…官兵衛殿は」
「馬鹿でも構わん……卿と共にいられるのならば」
「……官兵衛殿……っ」
抱きついてくる半兵衛をただ強く抱き締めた。でもいつかはこの腕から消えて無くなってしまう、それがあまりにも悔しい…私や半兵衛が何をしようが未来は変わらない。半兵衛は亡くなってしまう。ならばそれまでの時間、私は半兵衛と少しでもそばにいて少しでも抱き締めていたい。
こんなにも一人の人が亡くなってしまうのが寂しいと思ったことはない。
それ程に私はこの竹中半兵衛という男を愛してしまったのだ。
「卿と共に逝くのもいいな……」
「……そんなの…俺が許さないよ」
「分かっている…冗談だ」
「ねぇ……官兵衛殿……俺……怖いよ……官兵衛殿と離れるの……怖い…ずっと……一緒にいたい……」
「それは私も同じだ…半兵衛…」
「でも……一緒に逝ってほしいなんて俺は言わない官兵衛殿は……まだ…仕事があるでしょう…だから……ね」
「分かった……もう卿の仕事は終わった…あとは私に任せて……眠れ」
「ありがと…官兵衛殿…」



愛してる




死に際にそう言いながら優しく笑って…半兵衛は眠った。
私は一人残された…だがいつだか半兵衛は光になって私を見守っていると言った。私は光を見て今日も卿がそばにいる、そう思いながら武器を手に戦場に立つ。


光がある限り私と卿は共にいる。
 
 

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