戦国無双3

□願い事
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俺の願いはあなたと一緒にいられる事ーー…
「お疲れ様……」
そう言って手を差しのべた。相変わらずの無愛想な顔がこっちを見た。
「まさか卿の言ったことが本当になるとはな…」
「悔しくないの?」
聞かずにはいられなかった…約束したときから…見ていたから……。
「悔いなどない……奴のお陰でまた……卿に会えたからな」
「え……?」
「それに、雨でも見ていて……いや迎えに来てくれただろう?そのときの光が一番綺麗に輝いていた…」
俺が今まで…そう、生前でも見たことのない柔らかく暖かい表情をしながらあなたは言った。珍しかったからか……何故か目が離せなかった。
「…礼を言う……」
「え……ちょ……?!」
いきなり抱きしめてくれた。驚いたけど……嬉しい……触れ合うのは何年ぶりだろうか…。そう思った次の瞬間涙が溢れてきた…。
「いつもなら口の減らぬ卿が今はどうしたのだ?」
「……そっちこそいつもちょっとした返事しかくんないくせに…」
「…すまん……」
いつもとは全然違う素直な謝罪に今までの事を含んで言っているのだとわかった。
「礼ならあの最後のときに言ってもらったんだよね…」
「最後…?私は何も言ってないが?」
「表情でわかったの!だって…あの時の官兵衛殿の表情…すごく優しく微笑んでくれたじゃない……俺に」
「そうか……私も毎日光を見ては卿の笑顔を思い出していた…よく私に笑顔を見せてくれた…その幸せな時を…だが…どれも私にはまぶし過ぎる光だった…直視できぬ程に…」
じゃあ最後俺の光をあんなに真っ直ぐ見れたのはきっと俺が悲しい顔をしていたからかな?死に際も多分ひどく暗い顔だったから官兵衛殿は見ないでいてくれたのかな?どっちにせよ俺は光になれていたみたいでよかった。
「大好き」
抱きしめ返したら久しぶりだからかあなたの心臓の音が早い。
「これからはもう戦や天下なんか忘れて…俺と…ー」
「ああ、共にいよう…」
ずっと一人であなたを見ていたけど…これからは…一緒にいられる…生前望んだことが死んでから叶った…。

 
 

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