望んだ事はB

□キャラ設定
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「ちょっと小松田さん!
これは何?地獄絵以上なんですけど」

「えへっ」

殺意が一瞬生まれそうになったが、堪えた自分を誉めてあげたかった。

「はあ・・・」

大きなため息をつきながら、書類が散乱した事務室に足を入れるるるる。

こんな状態でも怒らなかった吉野先生。
それを思うと、何も言えなかった。
自分にも責任がある。

「・・・小松田さん」

「なあに?」

屈託のないいつもの返事。
書類を集めているから、背中越しに受けとる。

「・・・ご」

「ごめんは無しだよ」

まさか小松田さんに先を越されるとは。
ビックリして振り返ると、

「!」

真後ろにその笑顔は立っていて、二度驚くこととなった。
近すぎる二人の距離。
るるるの右の頬を優しく掌が触れる。

「良かった、戻って」

その言葉は、とても意味深だった。

七瀬が戻って?
るるるが戻って?
消えていた、るるるの笑顔が戻って?

ただ、小松田さんはそれ以上は語らず、笑っているだけだった。

「か、片付けっ!」

「はあい!」

先に動いたのは、今度はるるる。
と言っても、感じるのは敗北感。

『小松田さん、違いすぎっ!』

この世界に来て一番感じたのは、小松田さんのギャップだ。
自分の知る彼とは違う、時々思いもよらない言動をとる。

知っている気になってたのは、所詮設定であって中身ではない。

そんな当たり前で大切なことを、今改めて思い知る事となった。
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