望んだ事はB

□るるるの望み
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忍といえども、神の放った光から逃れる事は不可能だった。
暫く目がぼやけている。

霧が晴れるように、ようやく視力が回復すると、もうそこには神の姿はなかった。

ある意味それが、望みが果たされたことを指しているようだ。

ゴトッ。

祭壇に置かれた棺の辺りから、物音がした。

「!!!」

るるるが駆け寄る。
棺を覗き込むと、

「・・・七瀬」

そこに眠る名を呼んだ。

その瞬間、ようやくるるるの瞳から、それは流れ出した。

「・・・ううっ・・・つ・・・」

棺を覗き込んだかと思ったら、突如泣き出したるるる。
その行動を黙って見守る周囲。

「!」

利吉に衝撃が走った。

棺から伸びてきた、白い腕。
そのままるるるを抱き締めようと、背中に回していく。

腕に続くのは、もちろん肩。
首、頭。
棺の中から姿を現す。

「七瀬」

力強く抱き締めた。
生きている強さだ。

「うわぁ〜んっ!!!」

大きな声で泣きじゃくるるるる。
今まで一心にみんなを引っ張り、強くあろうとした彼女。
もうその強がりは不要だった。

「ごめん、心配かけたね」

親友の初めて見る号泣に戸惑う七瀬。
そして、それが嬉しくもあった。

生きていて良かった。
いや、復活出来て良かった。
例え前と何かが違うとしても、自分にはどうでもいいことだった。

この世界こそが帰りたかった場所。
本当の一員に成れた気さえする。

「るるる・・・ありがとう」

もう一度、力を入れて抱き締めた。
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