望んだ事はB

□るるるの望み
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「命を与える事は出来ない。
でも、この世界の人間として復活させることは出来る」

全員が息を呑んで聞いた最後の手段。
果して、理解出来ただろうか。

「るるる、君にだけは分かるだろ?」

添えられた意味深な言葉。
この世界の存在を知る、彼女にしかわからないメッセージだ。

るるるはコクンと首を縦に動かした。
そう、彼女だけはしっかり理解したのだ。

忘れかけていた事実。
ここは異世界、アニメの世界。
そこへカイトは『復活させる』と言うのだ。

すなわち、自分達の世界から見たら、
七瀬をキャラクターとして生まれ変わらせるということになる。

ここに来る前だったら、迷ったかもしれない。
でも、今は違う。

「カイト!
私はこの世界を《特別視》してないよ。
七瀬も絶対に!」

だから、迷わない。

「そうか、決まりだな」

「うん!」

るるるが笑顔でぐるりと見渡した。
そこには何も理解出来ていない顔、顔、顔。

文次郎の口が開いたまま。
しんべえの目が虫の様に飛び回っている。
思わず声を出して笑いそうになった。

それをぐっと耐え、再度カイトを見つめると、彼は優しく頷いた。

「カイト!私の望みを叶えて!
私の望みは、七瀬をこの世界に復活させること!」

名一杯、大きな声で叫んだ。
絶対叶えてもらえるように。
理解出来ていなくても、想いだけてもみんなに伝わるように。

同時に眩い光が校庭を包んだ。
目を開けていられないくらいの大きくて、力強い輝き。

声だけが頭の中に聞こえた。

「るるる、望みを叶えよう!」
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