望んだ事はB

□オラ、悟空!
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「るるるちゃん!」

声にならない仙蔵。
の、代わりに叫んだのは伊作だった。

一瞬、彼の顔に目を向けたるるる。

「・・・るるるちゃん?」

その表情に伊作は止まった。
心臓がドクンと波打ったのが分かる。

伊作の見ている方向にいるのは、もちろんるるる。
もう彼女は自分を見てはいない。
一度だけ、棺に目を向けた気がした。
そして、

『彼女は何かする』

そう思ったと同時に、

「こんなの違〜うっ!!!」

るるるは叫んだ。

元より静かな儀式。
その声はよく通った。
その叫びの意味をどう捉えるべきか誰も分からない。
だから、誰も続けることが出来ない。

それがるるるにも分かっている。
ただただ自分を見つめている忍たま達の・・・悲しい瞳。

「その瞳も・・・違うっつうのっ!!」

「だから、何を言っている!」

仙蔵がるるるの腕を掴む。
怒っているようにもとれる。
るるるを宥めようとしているようにもとれる。

でも、ここで止められるわけにはいかない。

「だからっ!
なんで泣いてないのって言ってるの!!」

「・・・は?・・・何を言って」

その言葉に仙蔵の腕が下がった。
動揺が腕を通して、るるるに伝わる。
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