望んだ事はB
□元の世界との繋がり
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「誰の携帯から、かけてんだよ?」
不信そうに言いつつも、名乗らないどころか声も発していなかったのに、よく分かったと思う。
「なんか用か?」
「べ、別に」
「っていうか、さっき帰ってきたばっかなくせに、もう出掛けてるのか?」
その衝撃の言葉に、心臓がドクンと揺れた。
この世界に来て、夏と秋の二つの季節を体験した。
嬉しいことも楽しいことも。
そして、辛すぎる出来事も。
「さっき・・・会った?」
「何言ってんだよ。イベント帰りだったろうが!オタクのイベントの!」
「あ・・・」
巧と最後に会った日。
それは、トリップした日と同じ。
どうやら、ほとんど元の世界は進んでいないようだった。
「そ、そうだった。ごめん、寝ぼけてた」
動揺を知られる前に切ろうとした。
が、それを阻んだのは、
「お前、泣いてんのか?」
巧のこの鋭い一言だった。