望んだ事はB

□残された者達
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少し前、静かな忍術学園がざわついた。

「土井半助!一体どういうことだっ!!」

突然、半助の部屋に飛び込んできたタソガドキの諸泉尊奈門。
顔を見れば尋常でないことは分かる。

確かタソガドキ忍軍は戦に出ていた。
短期間での帰還。
よぼと学園を心配していたのだろう。

しかし、その心配は彼等の予想を上回る最悪の結果となっていた。
それを知ったのだから、この剣幕は当たり前だと言っていい。

半助の胸ぐらを掴み、

「なんでお前がいながら、こんなことになったんだっ!!」

尊奈門の瞳が微かに潤んでいた。


あの瞬間を思い出す。

学園の門が遠くに見えた時に聞こえた銃声。
七瀬を抱えたままスピードをあげた自分。

学園で見たのは血まみれで、明らかに助からないと分かる利吉の姿。

「土井先生・・・歩きます」

ヨロヨロと利吉に近付く七瀬。
その背中を見ているしかなかった。

真実を知っていれば、止めただろうか。
いや、何故気付かなかったのか。
七瀬が力を使う度に倒れていた事を知っていたのに。

嫉妬。

そう、それだ。
口付けをする度にそればかり頭を占めていた。
学園に戻ってくる前も。
市原周平に対して、嫉妬で一杯になっていた。

そして、最期に見たあの光景。


「なんで守れなかったんだ・・・」

尊奈門の声さえ、聞こえない。
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