望んだ事はB

□お笑いこそ
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「ガッツだ!」

突如目を開き、拳を突き上げたるるる。

「行きましょう、学園長!」

「ふむ」

その背中を見つめる。

「るるる、お主は本当に強い子じゃな」

そう言うと、不器用そうにるるるが笑った。
その後に続けたい学園長の言葉が分かっているのだろう。

『もう少し、弱さを見せてもよいのじゃぞ』

敢えて口にはしなかった。
もう一度、生徒のいる場所に向かう。

るるるが目を向けると、六年生と五年生も戻ってきたところだった。

「三郎・・・」

伊作によって怪我の手当てを受けていた。
乱太郎はじめ、保健委員が忙しそうに動いている。

「私も手伝ってきます」

「そうか、頼む」

学園長はるるるの腕を優しく叩き、ヘムヘムを呼びながら庵へと引き返して行った。

「くうーん」

ヘムヘムが向こうで呼んでいるようだ。

「さてと・・・ん?」

突如ものすごいスピードで駆け抜けていった違和感。
頭が理解するより、足が動いたのが先だった。

彼女だから気付いた。
「知っている」彼女だから?

いや、違う。
もはやそんなレベルでは表現出来ない。
言うなれば、忍たまへかける彼女の愛故。

「どうした、るるる?」

学園長を追い抜き、両手を開いた。
そう、学園長を守るように。

「ヘムヘムは、くうーんなんて鳴かない!」

そして、一発の銃声の音が学園に響いた。
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