望んだ事はB

□お笑いこそ
2ページ/3ページ

疲れてはいるものの、皆の顔は晴れやかだ。
きり丸の涙の跡に気付いた一年は組の皆が、さりげなく元気付けようとしている。

その横をすっと通り抜けたるるるに、誰も気付いてはいない。
どこに向かうつもりもなかったが、るるるは歩いていた。
この惨状を見つめながら。

ふと着いたのは、一本の大きな木の根本。
数日前に七瀬と登ったあの木。

「・・・」

言葉が出なかった。
大きく真ん中から折れている。
どうやったら、こんなになるのか想像もつかなかった。

「ごめん」

やっと出たのは、謝罪の一言
木の肌に触れ、頬を付けた。

涙は出ない。
瞬きもしない。
瞳には何も映らない。

「お前さんのせいじゃない」

ふと声がした。
現実に引き戻そうとする、優しい声。

「学園長」

振り返りなくても分かる。

「無事に戻れて、何よりじゃ」

るるるは目を閉じた。
今学園長を見たら、泣いてしまうと思ったからだ。

泣くのは嫌だ。
私が泣いてどうする。

笑顔が絶えないこの世界。
どんなことだって、笑いに変えてしまうギャグアニメ。

『私はそれが好きだった。大好きだった』

笑ってなければ、忍たまじゃない!
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ