望んだ事はB

□終結と集結
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「いいか、火器を壊せ。
闘うのは、中の味方と合流した後だ」

山田先生が指揮を執る。
きり丸だけは、完全な戦力外。
後から来るであろう、仙蔵とるるるを待つ。

「きり丸、絶対に見つかるな」

「はいっ!」

教え子の頭を撫で、利吉と共に姿を消した。

そして、数分後始まった武器の破壊大作戦。
あちこちで爆音が響く。
さっきまで、 学園内で聞こえていた音が、学園の外からに変わる。

『みんな!気付いて!』

きり丸は願った。

これは、学園を助けに来た音。
もう怯えなくていい。
もう耐えなくていい。
みんなにそう伝えたいのに、みんなを助けたいのに。

いつの間にか泣いていたきり丸。
小さく震える肩は、何かを思い出していた。

赤く燃える空。
何を言っているのか分からない叫び声。
遠い遠い記憶。

「大丈夫だよ、きり丸」

後ろから回された優しい腕。
細さも力も女性の物だとすぐに分かった。

「るるる・・・」

「大丈夫だ、ちゃんと傍にいる」

「立花先輩」

きり丸に名を呼ばれた仙蔵は、いつものクールな顔ではなく、温かな笑顔で応えると、

「さあ、勝ちに行こうか」

懐から取り出した宝禄火矢を爆破させた。
黄色の煙。何かの合図だ。

同時に学園の塀から姿を現したは、三郎と勘右衛門。

「ほら、きり丸の想いは届いた」

るるるが頭をくしゃくしゃに撫でながら言った。
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