望んだ事はB

□終結と集結
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「三郎!」

「鉢屋先輩っ!!」

勘右衛門と庄左ヱ門が駆け寄った。
三郎の腕の中には、青ざめた彦四郎。

「せんぱ〜い・・・」

涙を一杯溜めて、溢さないようにしている事しか出来ない小さな学級委員長。
しかし、三郎は満足だった。
必死で恐怖に耐えようとしている。
それだけで、

「えらいぞ」

優しく頭を撫でる。
しかし、聴き手ではない左手で。
右手からはポタポタと血が流れ落ちている。

「キリがないな」

止血しながら、勘右衛門が呟いた。

学園に侵入してきた敵は、先生と上級生の活躍で、大方防ぐ事が出来た。
しかし、それ以外が厄介だった。

侵入していない敵。
学園を取り囲むような気配。
そいつらが、次々と学園内に火器を投下する。
先程からの爆音は、仙蔵の願いとは逆の、攻められている音だった。

「撃って出るか・・・」

勘右衛門が三郎の顔を見た。
首を横に振る返事が返ってくる。

「まだダメだ。中が薄くなるのを狙ってる」

三郎は思い出す。
ウスチャアラレ忍者のあの男を。

刃を交わしたのは数回程度だった。
正直、本気モードの三郎の相手ではない。
それが分かったのか、すぐさま逃げていった。
そして、その数分後に始まった火器攻撃。

「最初から奴等は、これが狙いだったんだ」

このままでは学園は火の海と化す。
しかし、撃って出るにはまだ早い。

三郎は待っている。
外から来る味方を。
違う目的で出ていった六年生を。

「七瀬」

ただ、会いたいと思った。
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