望んだ事はB

□癒された傷
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「早く!」

「七瀬・・・」

「みんな、必死で持ちこたえてます!」

「わ、分かった。行くぞ!
半助、七瀬を頼む!」

伝蔵が半助に向くと、コクリと頷いた。
同時に、強い風が吹き上がった。
七瀬の力が、始動する。

「七瀬!」

利吉がもう一度振り返った。

「私は大丈夫だから、きり丸達を守って!」

「わ、分かった」

「利吉さん!」

今度は七瀬が呼び止めた。

「約束、ちゃんと覚えてますから」

「ああ、後で!」

利吉が笑った。
七瀬も。

そして、別々の場所に向かうため、視線を離した。

「くそう!追え!追え!
何だこの風は!目が開けられん!」

砂嵐がドクタケ城に舞い上がり、八方斎はじめドクタケ忍者が涙する。

その中心には、うつむいたままの市原周平。

「土井先生」

それを見つめていた七瀬が、ポツリと半助に言った。

「周平を元の世界に戻したいと思います」

目的変更。
るるるときり丸は、ドクタケ城から助け出した。
当初はこのまま学園に帰還する筈だった。

しかし、七瀬は思う。

『周平は、今帰らなきゃいけない』

彼の前に、七瀬が立ちはだかる。
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