望んだ事はB

□学園からの報せ
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「気付かれたか」

城内が騒がしくなったのを感じとる半助。

「まだ合図がないか・・・」

助け出せてないのなら、闘うことになる。
半助は懐からチョークを取り出したが、少し考えてから苦無と交換した。

「七瀬、気を付けろ・・・」

そう言おうとした時、

「七瀬?」

何か彼女の様子がおかしいことに気づいた。
心ここに在らずと言った瞳をしている。
余りに不用心な集中力。

「七瀬!」

腕を引き寄せると、簡単に体が動き、半助の胸元に頭がこつんと当たった。
思わずドキリとする半助。

「七瀬?」

肩が震えている。
何故?
今になって恐怖?

半助が震える肩に苦無を持ってない左手を添えると、七瀬が顔を上げた。

「先生、学園が危ない!
どうしよう!」

涙目の七瀬。

「感じるんです!
あの木が、学園の木が風に乗って知らせてくれました」

「木が?」

そう聞いた瞬間から、半助にも風の音が耳につくように感じ始めたから不思議だ。
嵐の前の生温い嫌な風のような。

「や、やめて!」

誰に向かうでもないが、七瀬が空に叫ぶ。

「七瀬、落ち着きなさい!」

「でも・・・」

木や風、あらゆる自然から感じる危険だと報せる信号。
何が学園で起こっているのだろうか。

あまりの不安に七瀬は、半助の腕をつかんだまま離せない。
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