望んだ事はB

□救出
2ページ/2ページ

地上への階段を上がり、地下よりはマシな地上の明かりが見えてきた。

「!」

「父上!」

伝蔵と利吉が反応し、文次郎と仙蔵が二人の行動で気づいた。

金属音。
近い。

「ワシが先に出る。
文次郎と仙蔵は、様子を見てからきり丸と出てきなさい」

苦無を構えて出ていくと、利吉か続いた。

「伊作!右!」

「留さん!後ろ!」

地上では、二班として待機していた二人がドクタケ忍者と剣を交えていた。

五人に取り囲まれているのは、出口を死守する為に、そこから動けないでいるからだ。

流石は六年生。
流石は同室。
息ぴったりの動きで、カバーし合う。

「やあっ!」

ドクタケの三方向からの攻撃。
その瞬間、出口から無数の手裏剣が撃たれた。
山田先生だ。

「伊作、留三郎!
よく守った!きり丸は無事だぞ」

「よかった・・・」

その言葉に一瞬笑顔になった伊作。
しかし、まだ聞いていないもう一人の名前。

「るるるちゃんは?」

こういうところは、察しが良すぎる伊作だった。

「女なら、そこにはいなかっただろう!」

やり取りにドクタケ忍者が混ざってきた。

「どこへ連れて行った!」

「さあて、どこだろうな?」

不敵に笑う。
不愉快だ。
留三郎がキリリと奥歯を噛むと、

「言わねば後悔するぞ」

低い声がドクタケ忍者の後ろから聞こえた。
暗闇から気配もなく現れたその腕は、ドクタケ忍者の首に回っている。

「ぐぐぐっ・・・うっ!」

苦しそうなその声とも言えない音は、締め付ける力の強さを物語る。

「大木先生」

利吉は、感心するように名を口にした。
らっきょを作っていても、流石はプロ忍。
一枚も二枚も上だ。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ